コラム
2020年10月07日

旺盛な米国株式への投資意欲~2020年9月の投信動向~

金融研究部 准主任研究員   前山 裕亮

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米国株式ファンドの販売が好調

2020年9月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、外国株式に大規模な資金流入があり、ファンド全体で4,600億円の資金流入があった【図表1】。この9月の資金流入は8月の1,100億円の資金流入を大きく上回り、2020年に入ってから最大の資金流入であった7月の5,100億円に迫った。
【図表1】 2020年9月の日本籍追加型株式投信(除くETF)の推計資金流出入
大規模な資金流入があった外国株式では、流入金額が9月は5,600億円と8月の3,400億円から2,000億円以上増加した。9月も7、8月と同様に、9月に新規設定された外国株式ファンド(赤太字)や7、8月に新規設定された外国株式ファンド(緑太字)への資金流入が目立った【図表2】。ただ、9月はこのような新設ファンドに加えて、米国株式ファンドも人気であった。9月に資金流入が大きかったファンド上位10本をみると、「投資のソムリエ」以外の9本が外国株式ファンドであり、うち新設ファンド(赤太字、緑太字)が4本、米国株式ファンド(青太字)が4本であった。

実際に先ほどの4本(【図表2】青太字)を含む米国株式ファンド全体には、9月に1,700億円の資金流入があり、今年最大の資金流入であった3月の2,100億円に迫る規模であった【図表3】。米国株式ファンドのタイプ別流入金額は、アクティブ・ファンド(青棒)で1,200億円、インデックス・ファンド(黄棒)で500億円であり、ともに8月から増加していた。
【図表2】 2020年9月の推計純流入ランキング
【図表3】 米国株式ファンドの資金流出入の推移
このように9月に米国株式ファンドの販売が総じて好調だったのは、米国株式の下落を待っていた投資家が多かったためだと思われる。米国株式は4月以降ほぼ一本調子で上昇し、また上昇が急ピッチであった。米国株式ファンドには昨年12月以降、大規模な資金流入が続いているが、米国株式への関心はあるものの高値警戒感などから投資することを控えていた投資家も多かったと推察される。それが9月に米国株式が久々に下落し、これまで様子をうかがっていた投資家が米国株式ファンドを購入もしくは買い増したため、9月は資金流入が膨らんだのではないだろうか。

国内株式ファンドの売却は一巡か

国内株式からは9月に1,200億円ほど資金流出したが、8月の2,100億円の資金流出と比べると鈍化した。9月は日経平均株価が2万3,000円から2万3,500円台で推移するなど、国内株式はもみ合う展開となったことが影響したと思われる。ただ、日経平均株価が2万2,000円を回復した6月に流出金額はピークを迎え、それ以降、流出は減少基調であることから、利益確定売りが出にくい市場環境であったことだけでなく、売却自体も一巡してきているのかもしれない【図表4】。
【図表4】 国内株式ファンドの資金流出入の推移
国内株式の中で資金流出の鈍化が顕著であったのが、インデックス・ファンド(黄棒)であった【図表4】。8月に700億円に迫っていた資金流出が、9月は100億円強の資金流出に収まっていた。国内株式のインデックス・ファンドの資金動向を日次でみても、8月と9月で投資家の行動がやや変化してきていることが確認できる【図表5】。
 
国内株式のインデックス・ファンドは、9月も8月と同様に日経平均株価が2万3,400円を超えた翌営業日には100億円前後の資金流出があった。一方、日経平均株価が下落し2万3,000円に迫った翌営業日には少額ではあったが資金流入があり、8月と比べて資金流入している日が多かった。8月中は日経平均株価が2万3,000円を下回らないと資金流入があまりなかったことを踏まえると、9月に入ってから国内株式に対する投資家の見方がやや楽観的になってきている可能性があるといえよう。
【図表5】 国内株式インデックス・ファンドの推計資金流出入の推移

国内株式アクティブ・ファンドは見直されてもいいのでは

国内株式のアクティブ・ファンドでも、9月は1,000億円の資金流出と8月の1,200億円の資金流出からやや鈍化した。ただ、中小型株アクティブ・ファンド(紺棒)に限ると9月は400億円超の資金流出と8月(380億円)からやや増加した【図表4】。9月は国内株式全体でみると株価はほぼ横ばいであったが中小型株市場は堅調で、9月に10%以上も(分配金込みの)基準価格が上昇する中小型株アクティブ・ファンド(青太字)もあった【図表6】。そのため、国内中小型株アクティブ・ファンドでは利益確定に伴う売却が膨らんだのかもしれない。
 
国内中小型株アクティブ・ファンドは2019年3月から資金流出が続いており、2019年3月から2020年9月までの流出金額は累計で7,000億円に迫っている。2020年9月末時点での国内中小型株アクティブ・ファンド全体の純資産総額が1.4兆円であるため、約1年半で純資産総額の3分の1程度が売却されたことになる。
 
その一方で、9月に好調だった国内中小型株アクティブ・ファンド(青太字)の過去1年の収益率はすべて20%を超え、中には100%に迫っているファンドもあった【図表6】。日経平均株価の過去1年間の上昇率が7%を下回っていることからも、それらのファンドはかなりの好成績であったといえよう。つまり、足元の9月単月だけでなく1年通じても高パフォーマンスの国内中小型株アクティブ・ファンドがあったことが分かる。
 
このように高パフォーマンスを上げている国内株式のアクティブ・ファンドがあることを踏まえると、ここ最近はアクティブ、インデックス問わず外国株式に投資家の人気が集中しているが、国内株式のアクティブ・ファンド、特に中小型株アクティブ・ファンドはもう少し投資家から見直されてもいいのではないだろうか。
【図表6】 2020年9月の高パフォーマンス・ランキング
 
 

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
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金融研究部   准主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

(2020年10月07日「研究員の眼」)

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