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- ユーロ圏消費者物価(8月)-ついにマイナス圏に突入
2020年09月02日
1.結果の概要:前年同月比でマイナスに転じる
9月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は▲0.2%、市場予想1(+0.2%)より下振れ、前月(+0.4%)から減速(図表1)
・前月比は▲0.4%、予想(▲0.1%)より下振れ、前月(同▲0.4%)と同水準
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は+0.4%、予想(+0.8%)より下振れ、前月(同+1.2%)から減速(図表2)
・前月比は▲0.5%、前月(▲0.3%)から減速
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:コア指数もゼロ%前半まで低下
まず、8月のHICPの品目別成長率を「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」「エネルギー」「食料品(アルコール含む)」の3分類に分けて見る。
コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」が前年同月比で大幅に減速した(7月+1.2%→8月+0.4%)。内訳としては「エネルギーを除く財」が急減し、マイナスに転じた3(7月+1.6%→8月▲0.1%)ことに加えて、「サービス」も減速傾向が続いており(7月+0.9→8月+0.7%)、2か月連続で1%を割っている(図表2)。サービスでは品目が公表される7月までの動向をみると、コロナ禍の影響を大きく受ける「外食・宿泊」での減速が目立っている。前月比では、コア部分が▲0.5%と下落が続いている。内訳は「エネルギーを除く財」が▲1.6%、「サービス」が+0.0%となり、例年7月に実施される値引きシーズンが後倒しされたことで、8月の前月比マイナス幅が拡大した。
コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」が前年同月比で大幅に減速した(7月+1.2%→8月+0.4%)。内訳としては「エネルギーを除く財」が急減し、マイナスに転じた3(7月+1.6%→8月▲0.1%)ことに加えて、「サービス」も減速傾向が続いており(7月+0.9→8月+0.7%)、2か月連続で1%を割っている(図表2)。サービスでは品目が公表される7月までの動向をみると、コロナ禍の影響を大きく受ける「外食・宿泊」での減速が目立っている。前月比では、コア部分が▲0.5%と下落が続いている。内訳は「エネルギーを除く財」が▲1.6%、「サービス」が+0.0%となり、例年7月に実施される値引きシーズンが後倒しされたことで、8月の前月比マイナス幅が拡大した。
次に「エネルギー」を見ると、8月は前年同月比▲7.3%(7月▲8.4%)、前月比+0.0%(7月+0.5%)となり、上昇傾向が一服した。前年同月比寄与度では▲0.80ポイント(7月:▲0.83%ポイント)となり前月よりは縮小したものの、全体のインフレ率を低下させている(前掲図表1・2)。
一方、「飲食料(アルコール含む)」は前月比で▲0.1%(7月:同▲1.0%)と小幅だが前月に続き下落、前年同月比伸び率でも+1.7%(前月:同+2.0%)と減速傾向が続いている(図表3)。未加工食品も前月比▲0.4%と下落した。
全体として見ると、「エネルギー」価格の低迷が続くなか、「コア部分」、「飲食料」のいずれも減速したことで、2016年5月以来の前年同期比マイナスを記録した。
一方、「飲食料(アルコール含む)」は前月比で▲0.1%(7月:同▲1.0%)と小幅だが前月に続き下落、前年同月比伸び率でも+1.7%(前月:同+2.0%)と減速傾向が続いている(図表3)。未加工食品も前月比▲0.4%と下落した。
全体として見ると、「エネルギー」価格の低迷が続くなか、「コア部分」、「飲食料」のいずれも減速したことで、2016年5月以来の前年同期比マイナスを記録した。
国別のHICP上昇率を見ると(図表4・5)、8月は前年同月比では未公表のオーストリアを除く18か国中12か国で減速し、また12か国が前年同月比でマイナス圏に突入している。7月は夏の値引きシーズンが後倒しされたことでベルギー・フランス・イタリアでは上昇が目立っていたが、8月はインフレ圧力が緩和された。また、ドイツでは7月以降のVAT引き下げによるインフレ率の減速が続いている4。
ユーロ圏では広範囲の品目にわたって物価上昇圧力が減っており、「コア部分」の上昇率もゼロ%前半まで低下した。今後も需要低迷が長期化すると見られることから、総合指数ではゼロ%前後での推移となると見られる。
3 飲食料も除く。
4 税率で19%→16%(軽減税率は7%→5%)への引き下げを12月まで実施する予定。
ユーロ圏では広範囲の品目にわたって物価上昇圧力が減っており、「コア部分」の上昇率もゼロ%前半まで低下した。今後も需要低迷が長期化すると見られることから、総合指数ではゼロ%前後での推移となると見られる。
3 飲食料も除く。
4 税率で19%→16%(軽減税率は7%→5%)への引き下げを12月まで実施する予定。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年09月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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