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- 英国GDP(2020年4-6月期)-▲20%超の急落だが、所得維持政策の効果も
2020年08月13日
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1.結果の概要:▲20%超の急落
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様。
2.結果の詳細:雇用者報酬は政策効果で微減にとどまる
英国の4-6月期成長率は、新型コロナの影響を受け1-3月期の前期比▲2.2%から大幅に悪化し、前期比▲20.4%(年率換算▲59.8%)となった。英国は他の欧州各国と比較してロックダウン(都市封鎖)の措置が遅かった2こともあって、ユーロ圏で大きく落ち込んだスペイン(4-6月期:前期比▲18.5%)よりも下落幅が大きくなった。1-3月期分の下落も加味される前年同期比の伸び率で見ると英国は▲21.7%となり、スペインの▲22.1%は若干上回るものの、それ以外の欧州各国と比べ落ち込み幅は大きい(図表2)。

最も月次GDPが落ち込んだ4月、および直近の6月の水準を2019年末と比較すると(図表4)、すべての主要セクター(農林水産・生産・建設・サービス)が4月に大幅マイナスとなり6月時点での回復も弱い(図表3でも見た通り)。
細かい産業分類で見ても、6月時点で政府サービスを除くすべての産業が昨年末対比でマイナスの水準にある。特に、サービス産業のうち、住居・飲食、その他サービス、芸術・娯楽、教育といった産業は、活動水準が3割~8割以上低い状態だったことが分かる。なお、成長への寄与で見ると、シェアの大きい製造業、卸・小売業、医療の低迷が成長減速へ及ぼした影響も大きい。
成長率の内訳を需要項目別に確認すると、4-6月期では、個人消費が前期比▲23.1%(前期▲2.9%)、政府支出が▲14.0%(前期▲4.1%)、投資が▲25.5%(前期▲1.1%)、輸出が▲11.3%(前期▲13.5%)、輸入が▲23.4%(前期▲9.4%)と主要項目がすべてマイナスとなり、特に個人消費と投資の弱さが目立つ。なお、在庫等は前期比寄与度で▲10.78%ポイント(前期は+1.32ポイント)、純輸出は同+3.59%(前期は▲1.47%ポイント)だった(前掲図表1)。

2 英国で外出禁止要請が出されたのが3月23日。一方、他国と比較して解除も遅く、6月末時点で閉鎖されている業種・地域もある。
3 GDPの下落幅からみると微減だが、歴史的には55年以降で金融危機時の2008年4-6月期の落ち込み(▲2.5%)に次ぐ悪化。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年08月13日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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