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- 中国経済の見通し-20年下半期はさらに成長加速、落ち込んでいた観光・文化娯楽の再開が牽引役
中国経済の見通し-20年下半期はさらに成長加速、落ち込んでいた観光・文化娯楽の再開が牽引役

三尾 幸吉郎
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- 新型コロナ禍で経済活動をほぼ停止していた20年1-3月期、中国の国内総生産(GDP)は実質で前年比6.8%減とマイナス成長に落ち込んだが、経済活動を再開した4-6月期には同3.2%増とプラス成長に回帰することとなった。新型コロナ禍が直撃した宿泊飲食業はマイナス成長が続いたものの、製造業はプラス成長に転換し、情報通信・ソフトウェア・ITは高成長を継続した。なお、消費者物価は前年比2.7%上昇と低位に留まっている。
- 需要項目別に見ると、個人消費の代表指標である小売売上高は1-2月期に前年比20.5%減と大幅な前年割れになったあと7月には同1.1%減まで持ち直してきた。投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)は1-2月期に前年比24.5%減と大幅な前年割れになったあと7月には同7.2%増まで回復しており、個人消費よりも好調だ。中国政府の意向を受けた国有企業が不動産開発やインフラ投資が増やした。他方、輸出の先行きは楽観できない。
- 中国では5月22日~28日に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開催された。財政政策に関しては「積極的な財政政策はより積極的かつ効果的なものにする必要がある」として、財政出動は19年より3兆6千億元(日本円換算で約54兆円)拡大させる。他方、金融政策に関しては「穏健な金融政策はより柔軟かつ適度なものにする必要がある」として、通貨供給量(M2)・社会融資総量の伸び率を前年の水準を上回るよう促す方針が示された(左下図)。
- 以上を踏まえて、20年の実質成長率は前年比2.0%増、21年は同5.5%増と予想する。20年下半期には公共衛生インフラ建設、老朽化した集合住宅の改良、“新型インフラ”の建設が本格化するのに加えて、観光・文化娯楽の経済活動も再開してくるため、経済成長の勢いは4-6月期よりも加速するだろう。但し、その後の21年以降には、新型コロナ対策で拡大した財政赤字を縮小し、緩んだ金融紀律を引き締めるステップが待っている(右下表)。
(2020年08月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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