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- 中国経済の現状と今後の見通し-現実味を帯びてきたV字回復への道筋
- 中国では経済が持ち直してきた。1-3月期には国内総生産(GDP)が前年比6.8%減とマイナスに落ち込んだが、経済活動を再開した4-6月期には同3.2%増まで回復した(左下図)。一方、6月の消費者物価は前年比2.5%上昇と1月の同5.4%上昇をピークに低下傾向にある。アフリカ豚熱(ASF)で豚肉価格が前年の2倍近い水準で高止まりしているものの、食品・エネルギーを除くと前年比0.9%上昇と低位安定している。なお、新型コロナ禍は各地で断続的にクラスターが発生しているものの、これまでのところ小振りな感染拡大に抑え込めている。
- 需要項目別に見ると、個人消費の代表指標である小売売上高は1-2月期に前年比20.5%減まで落ち込んだあと3月以降は緩やかだが着実に前年水準に近付きつつある。他方、投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)は1-2月期に前年比24.5%減まで落ち込んだあと3月以降はV字回復している。但し、輸出相手先である欧米諸国が深刻な新型コロナ禍に見舞われたことを背景に、新規輸出受注が冴えない動きを示すなど、輸出の先行きは暗い。
- 中国では5月22日~28日に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開催された。財政政策に関しては「積極的な財政政策はより積極的かつ効果的なものにする必要がある」として、財政出動は19年より3兆6千億元(日本円換算で約54兆円)拡大することになる。他方、金融政策に関しては「穏健な金融政策はより柔軟かつ適度なものにする必要がある」として、通貨供給量(M2)・社会融資総量の伸び率を前年の水準を上回るよう促す方針が示された。
- 以上を踏まえて、20年の実質成長率は前年比2.4%増、21年は同5.0%増と予想している。20年下半期には公共衛生インフラ建設、老朽化した集合住宅の改良、“新型インフラ”の建設が本格化するのに加えて、観光業や文化娯楽業の再開も本格化するため、経済成長の勢いは4-6月期よりも加速するだろう。但し、その後の21年以降には、新型コロナ対策で拡大した財政赤字を縮小し、緩んだ金融紀律を引き締めるステップが待っている(右下図)。
(2020年07月31日「Weekly エコノミスト・レター」)
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