2020年06月05日

Withコロナ時代のチャイナリスク

経済研究部 上席研究員   三尾 幸吉郎

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■要旨

1―世界第2位の経済大国となった中国は、「中国の特色ある社会主義」を掲げて中国共産党による国家の指導を正当化するとともに、「国家資本主義」と称される異形の経済運営をしているため、中国特有のリスク(チャイナリスク)を理解しておく必要がある。そして、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)でWithコロナ時代が到来し、米中対立が激しさを増してきたため、ここで改めてチャイナリスクを再考してみたい。
 
2―第一に挙げるチャイナリスクの変化は中国が与えるマクロ経済的リスクの巨大化である。今回の新型コロナ禍は中国発となったため、まずは中国の経済成長に急ブレーキが掛かり、そして日本の中国向け輸出が急減し、中国人旅行者が日本から消えるという流れで、日本経済に打撃を及ぼすこととなった。中国経済はこの10年で飛躍的に巨大化しただけに、中国経済の変調に起因するマクロ経済的なリスクへの備えが、その重要性を増している。
 
3―第二に中国に依存し過ぎたサプライチェーンのリスクである。新型コロナ禍が世界に蔓延していく過程では、中国生産に依存していたマスクが調達できない状況に陥った。これに似たリスクは自動車や「アビガン」の生産でも顕在化した。日本企業はこれまで、生産効率を上げるべくグローバリゼーションを進めてきたが、新型コロナ禍で世界各国が自国優先に走るのを目の当たりにして、サプライチェーンはこのままで良いか再考を迫られている。
 
4―第三に米中対立に関わるリスクが挙げられる。米中貿易交渉は20年1月に“第1段階の合意”に至ったが、新型コロナ禍で対立が再燃し、米国商務省産業安全保障局(BIS)はファーウェイと関連企業への輸出管理強化に動いた。一方、中国政府は“中国版エンティティー・リスト”の導入に慎重だが、米国がファーウェイを締め出したように、中国が特定の米国企業を締め出す恐れは排除できない。日本企業は再び“踏み絵”を迫られそうだ。
 
5―今後の日本は、Withコロナ時代に突入し、中国のマクロ経済的な影響力が巨大化し、米中の産業デカップリングが進むという環境の下におかれる。そして日本は、[1]EU・英国と協同して米中両国の自国第一主義と対峙すること、[2]地産地消の基本に立ち返り中国市場向けには中国で生産しそれ以外市場向けには中国企業抜きで生産すること、[3]さらに食糧・エネルギーの安全保障に加えて、医療機器・物資の安全保障を考えることが必要だろう。


■目次

1――新型コロナ禍とチャイナリスク
2――マクロ経済的リスクの巨大化と日本経済
3――中国に依存し過ぎた日本企業のサプライチェーン
4――新型コロナ禍で激しさを増す米中対立と日本
5――Withコロナ時代のチャイナリスクと日本
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経済研究部   上席研究員

三尾 幸吉郎 (みお こうきちろう)

研究・専門分野
中国経済

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