2020年03月10日

新型コロナと日本の対策-中国での新型コロナ対策は参考になるのか?

三尾 幸吉郎

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■要旨

1――日本にとって参考になる中国の新型コロナ肺炎(COVID-19)情報
中国疾病管理予防センターは確認症例の年代別構成やそれぞれの致死率、それに男女比や基礎疾患別の致死率などを発表しており、また新型コロナウイルスは感染力が異なる「L型」と「S型」に分類できるという研究結果を発表するなど、市中感染が始まったばかりの日本にとっては、中国の先行事例がとても参考になる。

2――湖北省(武漢)では“医療崩壊”も、その他の地域では回避できそう
新型コロナ肺炎の発火点となった湖北省(武漢)では、新型コロナウイルスに感染した人やその疑いを持つ人が病院に押し寄せて“医療崩壊”が起きた。しかし、筆者が行った統計的分析では湖北省(省都:武漢市)とそれ以外では大きな差があることから、“医療崩壊”がその他の地域に広がるのは回避できそうである。

3――日本政府が示した対策は正しいが、日本ならではの注意点も
日本では既に全国的な「市中感染」の拡大が始まったとの現状認識に立つならば、「日本政府が打ち出した対策は大袈裟」なものでは決してなく、正しい判断だと考えている。但し、自由主義の日本で政府が考えた新型コロナウイルス対策の効果を最大限引き出すためには、厳しい情報統制を敷く中国とは一味違うアプローチが必要である。
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三尾 幸吉郎

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