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- 株式ファンドは戻り売りで資金流出~2020年6月の投信動向~
コラム
2020年07月07日
国内株式ファンドを中心に資金流出
2020年6月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、国内株式、外国債券、外国株式から資金流出があり、国内株式からの流出金額が2,800億円と突出して大規模であった【図表1】。外国REIT、国内REIT、バランス型には500億円ほど資金流入があったが、国内株式からの資金流出が大きかったためファンド全体でも1,300億円の資金流出となった。ファンド全体では2020年に入ってから資金流入が続いていたため、昨年12月以来6カ月ぶりの純流出となった。
国内株式の資金流出は、5月の500億円から6月2,800億円へと急拡大した。国内株式は、5月中旬からの上昇基調は6月上旬に止まったが、6月は株価が高値圏の水準で推移した。そのような市場環境の中、アクティブ・ファンドを中心に戻り売りが出て、資金流出が膨らんだ様子である。
国内株式の資金流出は、5月の500億円から6月2,800億円へと急拡大した。国内株式は、5月中旬からの上昇基調は6月上旬に止まったが、6月は株価が高値圏の水準で推移した。そのような市場環境の中、アクティブ・ファンドを中心に戻り売りが出て、資金流出が膨らんだ様子である。
売り一辺倒の国内株式アクティブ・ファンド
国内株式では、6月はアクティブ・ファンド(緑棒)、インデックス・ファンド(黄棒)ともに資金が大きく流出した【図表2】。アクティブ・ファンドからの資金流出が1,800億円、インデックス・ファンドが1,000億円となっており、アクティブ・ファンドからの資金流出が特に大きかった。
国内株式のアクティブ・ファンドは2019年2月から資金流出が続いているが、足元の3月、4月、5月は小規模であった。急落時に塩漬けにし、株価が戻るのを待っていた投資家も多かったと思われ、6月にある程度の水準まで株価が戻ったことによって、待っていた投資家が一斉に売却に動いたと考えられる。6月は月を通じて一貫してアクティブ・ファンドから資金流出があったが、株価が特に高かった上旬の資金流出が大きかったことがことからもそのことがうかがえる。
また個別にみても、最も資金流入が大きかったアクティブ・ファンドでも新設ファンドの33億円であり、SMA専用ファンドを除くと資金流入が10億円を超えた既存のアクティブ・ファンドはなかった。国内株式の上値の重さ、もしくは先高観の乏しさが投資家に意識されてか、新規の買い付けが少なく、まさに売り一辺倒であったといえよう。
なお、国内株式のアクティブ・ファンドの中で中小型株アクティブ・ファンドからの資金流出が700億円を超えた。6月は国内株式全体でみると株価がほほ横ばいであったが、中小型株に限ると下落した。中小型株アクティブ・ファンドからの資金流出が、国内中小型株式市場の需給に悪影響を及ぼした可能性があるだろう。
一方、国内株式のインデックス・ファンドでは、6月上旬こそアクティブ・ファンドと同様に資金流出が続いたが、中旬以降は資金流出がほぼ止まっていた。特に日経平均株価が2万2,000円を下回った翌営業日の30日に100億円を超える資金流入があり、国内株式が反発した3月下旬以降で最大の資金流入となった。金融市場がやや落ち着いてきたこともあり、再びインデックス・ファンドで逆張り投資をする投資家が増えてきているのかもしれない。
国内株式のアクティブ・ファンドは2019年2月から資金流出が続いているが、足元の3月、4月、5月は小規模であった。急落時に塩漬けにし、株価が戻るのを待っていた投資家も多かったと思われ、6月にある程度の水準まで株価が戻ったことによって、待っていた投資家が一斉に売却に動いたと考えられる。6月は月を通じて一貫してアクティブ・ファンドから資金流出があったが、株価が特に高かった上旬の資金流出が大きかったことがことからもそのことがうかがえる。
また個別にみても、最も資金流入が大きかったアクティブ・ファンドでも新設ファンドの33億円であり、SMA専用ファンドを除くと資金流入が10億円を超えた既存のアクティブ・ファンドはなかった。国内株式の上値の重さ、もしくは先高観の乏しさが投資家に意識されてか、新規の買い付けが少なく、まさに売り一辺倒であったといえよう。
なお、国内株式のアクティブ・ファンドの中で中小型株アクティブ・ファンドからの資金流出が700億円を超えた。6月は国内株式全体でみると株価がほほ横ばいであったが、中小型株に限ると下落した。中小型株アクティブ・ファンドからの資金流出が、国内中小型株式市場の需給に悪影響を及ぼした可能性があるだろう。
一方、国内株式のインデックス・ファンドでは、6月上旬こそアクティブ・ファンドと同様に資金流出が続いたが、中旬以降は資金流出がほぼ止まっていた。特に日経平均株価が2万2,000円を下回った翌営業日の30日に100億円を超える資金流入があり、国内株式が反発した3月下旬以降で最大の資金流入となった。金融市場がやや落ち着いてきたこともあり、再びインデックス・ファンドで逆張り投資をする投資家が増えてきているのかもしれない。
外国株式でも売りが出るが投資意欲は高い?
中国株式ファンドの一部が好調
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
(2020年07月07日「研究員の眼」)
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