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- 消費者物価(全国20年3月)-コアCPI上昇率は20年度入り後にマイナスへ
2020年04月24日
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1.コアCPI上昇率は前月から0.2ポイント縮小

参考値として公表されている消費税調整済(幼児教育無償化の影響も調整)のコアCPIは前年比0.1%(2月:同0.2%)となった。制度要因(消費税率引き上げ+幼児教育無償化)による押し上げ幅は0.4%程度(内訳は消費税率引き上げの影響が+1.0%、幼児教育無償化が▲0.6%)である。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(2月:前年比4.8%→3月:同0.4%)、灯油(2月:前年比5.9%→3月:同2.4%)の上昇幅が縮小し、電気代(2月:前年比▲3.2%→3月:同▲3.3%)、ガス代(2月:前年比▲1.6%→3月:同▲1.7%)の下落幅が若干拡大したため、エネルギー価格の下落率は2月の前年比▲0.2%から同▲1.7%へと拡大した。
また、消費増税後の消費の落ち込みを受けて、電気冷蔵庫、電気洗濯機などの家庭用耐久財は19年10月の前年比6.4%をピークに20年3月には同0.0%まで伸びが低下した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比1.6%(2月:同1.8%)となり、引き続きコアCPI全体を明確に上回る伸びとなっている。ほとんどの品目で軽減税率が適用されない一般外食は19年9月の前年比1.0%から10月に同3.2%と消費税率引き上げ分を若干上回る値上げがあった後、20年3月まで3%台の高い伸びが続いている。ただし、先行きについては、外出自粛による売上の落ち込みを背景に伸びが鈍化する可能性が高い。
また、消費増税後の消費の落ち込みを受けて、電気冷蔵庫、電気洗濯機などの家庭用耐久財は19年10月の前年比6.4%をピークに20年3月には同0.0%まで伸びが低下した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比1.6%(2月:同1.8%)となり、引き続きコアCPI全体を明確に上回る伸びとなっている。ほとんどの品目で軽減税率が適用されない一般外食は19年9月の前年比1.0%から10月に同3.2%と消費税率引き上げ分を若干上回る値上げがあった後、20年3月まで3%台の高い伸びが続いている。ただし、先行きについては、外出自粛による売上の落ち込みを背景に伸びが鈍化する可能性が高い。
2.上昇品目数が減少

上昇品目の割合は引き続き50%を上回っているが、消費税率引き上げ前と比べると水準が低下している。先行きについては、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う需要の急減を反映し、上昇品目数がさらに減少することが予想される。
3.コアCPI上昇率は20年度入り後にマイナスへ
コアCPIは2ヵ月連続で上昇率が縮小した。先行きについては、足もとの原油価格急落を受けてエネルギー価格の下落幅は大きく拡大することが見込まれる。また、緊急事態宣言の発令を受けた需要急減による物価の下押し圧力も高まるだろう。
なお、観光、外食、娯楽などの業界では需要の減少にとどまらず需要の蒸発ともいえる状況となっており、一部の品目では価格の取得が困難となる可能性がある。この場合、利用可能な直近データが利用されることになるため、需要の急激な落ち込みが価格面に反映されなくなる可能性があることには留意が必要だ。
コアCPI上昇率は制度要因(消費税率引き上げ+教育無償化)を除くベースで4月にマイナスに転じた後、5月には制度要因を含むベースでもマイナスとなることが予想される。
なお、観光、外食、娯楽などの業界では需要の減少にとどまらず需要の蒸発ともいえる状況となっており、一部の品目では価格の取得が困難となる可能性がある。この場合、利用可能な直近データが利用されることになるため、需要の急激な落ち込みが価格面に反映されなくなる可能性があることには留意が必要だ。
コアCPI上昇率は制度要因(消費税率引き上げ+教育無償化)を除くベースで4月にマイナスに転じた後、5月には制度要因を含むベースでもマイナスとなることが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年04月24日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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