- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計20年3月-輸出の減少幅を輸入の減少幅が上回り、1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに
2020年04月20日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.輸出の減少幅が拡大
財務省が4月20日に公表した貿易統計によると、20年3月の貿易収支は49億円の黒字となり、事前の市場予想(QUICK集計:4,200億円、当社予想は2,204億円)を下回る結果となった。輸出入ともに減少したが、輸出の減少幅(前年比▲11.7%)が、輸入の減少幅(同▲5.0%)を上回ったため、貿易収支は前年に比べ▲5,123億円の悪化となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲11.2%(2月:同▲2.4%)、輸出価格が前年比▲0.6%(2月:同1.4%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲2.5%(2月:同▲17.3%)、輸入価格が前年比▲2.5%(2月:同4.1%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲11.2%(2月:同▲2.4%)、輸出価格が前年比▲0.6%(2月:同1.4%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲2.5%(2月:同▲17.3%)、輸入価格が前年比▲2.5%(2月:同4.1%)であった。
2.4月以降は輸出入ともに大きく落ち込む可能性
20年3月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲15.9%(2月:同▲4.5%)、EU向けが前年比▲9.1%(2月:同▲9.7%)、アジア向けが前年比▲10.5%(2月:同▲0.9%)、うち中国向けが前年比▲10.4%(2月:同▲2.6%)となった。

一方、20年1-3月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は、国内需要の低迷、中国をはじめとした工場の操業停止の影響から、前期比▲6.9%(10-12月期:同▲2.0%)と輸出を上回る落ち込みとなった。
4月以降は、工場の再稼働を受けて中国向けは持ち直す可能性があるものの、都市封鎖が行われている欧米向けを中心に輸出入ともに大きく落ち込むことが予想される。
3.1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに
3月までの貿易統計と2月までの国際収支統計の結果を踏まえて、20年1-3月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲4%程度の減少、輸入が前期比▲5%程度の減少となった。輸出入ともに減少したが、海外工場の生産停止の影響で輸入が輸出以上に大きく減少したため、1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%(10-12月期:同0.5%)と2四半期連続のプラスとなることが予想される。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、4/30のweeklyエコノミストレターで20年1-3月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が2四半期連続で成長率を押し上げるものの、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う自粛要請を受けて、民間消費をはじめとした国内需要が大きく落ち込むことから、2四半期連続のマイナス成長を予想している。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、4/30のweeklyエコノミストレターで20年1-3月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が2四半期連続で成長率を押し上げるものの、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う自粛要請を受けて、民間消費をはじめとした国内需要が大きく落ち込むことから、2四半期連続のマイナス成長を予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年04月20日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/21 | 消費者物価(全国25年2月)-コアCPI上昇率は当面3%前後で推移する見通し | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/19 | 貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【貿易統計20年3月-輸出の減少幅を輸入の減少幅が上回り、1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計20年3月-輸出の減少幅を輸入の減少幅が上回り、1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスにのレポート Topへ