- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 消費者物価(全国20年2月)-消費増税、新型コロナウィルスによる物価の下押し圧力が高まる
2020年03月19日
1.コアCPI上昇率は前月から0.2ポイント縮小
総務省が3月19日に公表した消費者物価指数によると、20年2月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.6%(1月:同0.8%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:0.6%、当社予想は0.7%)通りの結果であった。生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比0.6%(1月:同0.8%)、総合は前年比0.4%(1月:同0.7%)であった。
参考値として公表されている消費税調整済(幼児教育無償化の影響も調整)のコアCPIは前年比0.2%(1月:同0.4%)となった。制度要因(消費税率引き上げ+幼児教育無償化)による押し上げ幅は0.4%(内訳は消費税率引き上げの影響が+1.0%、幼児教育無償化が▲0.6%)である。
参考値として公表されている消費税調整済(幼児教育無償化の影響も調整)のコアCPIは前年比0.2%(1月:同0.4%)となった。制度要因(消費税率引き上げ+幼児教育無償化)による押し上げ幅は0.4%(内訳は消費税率引き上げの影響が+1.0%、幼児教育無償化が▲0.6%)である。
コアCPIの内訳をみると、灯油(1月:前年比5.0%→2月:同5.9%)の上昇幅は拡大したが、ガソリン(1月:前年比6.3%→2月:同4.8%)の上昇幅が縮小し、電気代(1月:前年比▲2.1%→2月:同▲3.2%)、ガス代(1月:前年比▲0.7%→2月:同▲1.6%)の下落幅が拡大したため、1月に前年比0.8%と6ヵ月ぶりに上昇したエネルギー価格は前年比▲0.2%と再び下落に転じた。
また、消費増税後の消費の落ち込みを受けて、電気冷蔵庫、電気洗濯機などの家庭用耐久財は19年10月の前年比6.4%をピークに20年2月には同0.3%まで伸びが低下、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、宿泊料が前年比▲3.1%(1月:同▲2.0%)、外国パック旅行が前年比▲9.6%(1月:同0.3%)と下落したことなどから、教養娯楽が1月の前年比2.1%から同1.1%へと伸びが鈍化した。
一方、食料(生鮮食品を除く)は前年比1.8%(1月:同1.9%)となり、引き続きコアCPI全体を明確に上回る伸びとなっている。ほとんどの品目で軽減税率が適用されない一般外食は19年9月の前年比1.0%から10月に同3.2%と消費税率引き上げ分を若干上回る値上げがあった後、11月から20年2月まで同3.3%と高い伸びが続いている。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.17%(1月:▲0.08%)、食料(生鮮食品を除く)が0.32%(1月:0.32%)、その他が0.06%(1月:0.17%)であった(当研究所試算による消費税、幼児教育無償化の影響を除くベース)。
一方、食料(生鮮食品を除く)は前年比1.8%(1月:同1.9%)となり、引き続きコアCPI全体を明確に上回る伸びとなっている。ほとんどの品目で軽減税率が適用されない一般外食は19年9月の前年比1.0%から10月に同3.2%と消費税率引き上げ分を若干上回る値上げがあった後、11月から20年2月まで同3.3%と高い伸びが続いている。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.17%(1月:▲0.08%)、食料(生鮮食品を除く)が0.32%(1月:0.32%)、その他が0.06%(1月:0.17%)であった(当研究所試算による消費税、幼児教育無償化の影響を除くベース)。
2.上昇品目数が減少
消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(消費税率引き上げの影響を除いている)、2月の上昇品目数は274品目(1月は282品目)、下落品目数は191品目(1月は181品目)となり、上昇品目数が前月から減少した。上昇品目数の割合は52.4%(1月は53.9%)、下落品目数の割合は36.5%(1月は34.6%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は15.9%(1月は19.3%)であった。
上昇品目の割合は引き続き50%を上回っているが、消費税率引き上げ前と比べると水準が低下している。前回の消費増税時と比べて税率引き上げ分を価格転嫁できなかった品目が多かったこと、消費増税後の需要の落ち込みが影響していると考えられる。
上昇品目の割合は引き続き50%を上回っているが、消費税率引き上げ前と比べると水準が低下している。前回の消費増税時と比べて税率引き上げ分を価格転嫁できなかった品目が多かったこと、消費増税後の需要の落ち込みが影響していると考えられる。
3.エネルギー価格の急落、新型コロナによる消費低迷が物価の下押し圧力に
20年2月のコアCPIは5ヵ月ぶりに上昇率が縮小した。先行きについては、消費税率引き上げの影響が残る中で、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う各種イベント、会合の中止、外出の手控えなどから消費が大きく落ち込み、物価の下押し圧力がさらに強まる可能性が高い。また、足もとの原油価格急落を受けてエネルギー価格の下落幅は拡大することが見込まれる。消費税率引き上げと幼児教育無償化の影響を除いたコアCPI上昇率(20年2月は前年比0.2%)は20年度入り後にマイナスに転じる可能性もあるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2020年03月19日「経済・金融フラッシュ」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月24日
中国経済の現状と注目点-24年1~3月期は好調な出だしとなるも、勢いが持続するかは疑問 -
2024年04月24日
人手不足とインフレ・賃上げを考える -
2024年04月24日
米国でのiPhone競争法訴訟-司法省等が違法な独占確保につき訴え -
2024年04月23日
他国との再保険の監督に関する留意事項の検討(欧州)-EIOPAの声明 -
2024年04月23日
気候変動-温暖化の情報提示-気候変動問題の科学の専門家は“ドラマが少ない方向に誤る?”
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【消費者物価(全国20年2月)-消費増税、新型コロナウィルスによる物価の下押し圧力が高まる】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
消費者物価(全国20年2月)-消費増税、新型コロナウィルスによる物価の下押し圧力が高まるのレポート Topへ