2020年03月31日

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■要旨
  • アベノミクスの成長戦略として打ち出された、「健康経営」*と「働き方改革」の本質は、従業員の働きがい・快適性・幸福感を向上させることを通じて、「従業員の生産性向上」を図ることにある。生産性向上に向けて従業員を積極的にサポートすることは、経営トップの責務と捉えるべきである。
     
  • 経営トップは、イノベーション創出につなげていくための創造的なオフィスづくり、すなわち「クリエイティブオフィス」を健康経営や働き方改革の推進のドライバーに位置付けるべきである。
     
  • 米国でハイテク企業が多く集積するシリコンバレーやシアトルなどでは、企業間で人材の争奪戦が激しく繰り広げられており、企業は優秀な人材の確保・定着のために、必然的に働きやすい創造的なオフィス環境を整備・提供せざるを得ない。
     
  • 一方、クリエイティブオフィスの考え方を取り入れ実践する日本企業は、未だごく一部の先進企業にとどまっている。従業員の健康・快適性を高め創造性を育み本格的なイノベーションを生み出せるような組織風土を醸成し、グローバル競争の土俵に立つためにも、創造的なオフィスづくりに着手することが求められる。
 
* 「健康経営」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標。

■目次

1――「健康経営」と「働き方改革」は「生産性革命」のクルマの両輪
2――従業員の生産性向上に向けた抜本改革が求められる
3――クリエイティブオフィスを健康経営・働き方改革を推進するドライバーに位置付ける
4――従業員の健康に配慮したオフィスづくりが急務に
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社会研究部   上席研究員

百嶋 徹 (ひゃくしま とおる)

研究・専門分野
企業経営、産業競争力、産業政策、イノベーション、企業不動産(CRE)、オフィス戦略、AI・IOT・自動運転、スマートシティ、CSR・ESG経営

経歴
  • 【職歴】
     1985年 株式会社野村総合研究所入社
     1995年 野村アセットマネジメント株式会社出向
     1998年 ニッセイ基礎研究所入社 産業調査部
     2001年 社会研究部門
     2013年7月より現職
     ・明治大学経営学部 特別招聘教授(2014年度~2016年度)
     
    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員
     ・(財)産業研究所・企業経営研究会委員(2007年)
     ・麗澤大学企業倫理研究センター・企業不動産研究会委員(2007年)
     ・国土交通省・合理的なCRE戦略の推進に関する研究会(CRE研究会) ワーキンググループ委員(2007年)
     ・公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会CREマネジメント研究部会委員(2013年~)

    【受賞】
     ・日経金融新聞(現・日経ヴェリタス)及びInstitutional Investor誌 アナリストランキング 素材産業部門 第1位
      (1994年発表)
     ・第1回 日本ファシリティマネジメント大賞 奨励賞受賞(単行本『CRE(企業不動産)戦略と企業経営』)

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【健康に配慮するオフィス戦略-クリエイティブオフィスのすすめ-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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