2020年03月23日

新型コロナへの生活者の不安-全国6千名の定量調査から見えること、不安を軽減させるには

生活研究部 上席研究員   久我 尚子

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4――外出抑制で増えた行動~不安層は外出を控え、TVやネットに触れることでますます不安に

「外出を控えて、どのような行動が増えたか(複数選択)」について尋ねると、全体では「テレビの視聴」(51.4%)が最も多く、次いで「ネットサーフィン」(43.8%)、「動画配信サービスの視聴」(27.5%)、「睡眠」(22.6%)、「インターネットショッピング」(20.9%)と続く(図表10)。また、その他の自由記述では「ゲーム」が比較的多くあがっており、「裁縫」や「除菌」といった項目もある。
図表10 外出抑制で増えた行動(n=3,929)
外出抑制で増えた行動について、不安層・非不安層別に見ると、不安層ではいずれの項目も選択割合が高い傾向があるのだが、特に「テレビの視聴」(非不安層より+18.8%pt)や「ネットサーフィン」(+13.9%pt)、「インターネットショッピング」(+10.8%pt)で非不安層との差がひらく(図表11)。
図表11 不安層・非不安層別に見た外出抑制で増えた行動
つまり、不安が強く外出を控えている者ほど、家でテレビを見たり、ネットで情報収集をしている。先に見た通り、日頃から情報収集に積極的な層やマスメディア志向の強い層で不安層が多かったことを踏まえると、外出を抑制している者ほど、テレビやネット検索によって新型コロナの情報に多く触れており、負のスパイラルが回っていることが考えられる。
図表12 新型コロナへの不安・外出抑制・メディア接触の関係 マスメディア志向や情報収集志向が高い者ほど不安が強く、不安が強いために外出を抑制し、自宅でテレビ視聴やネット検索をすることで新型コロナ関連の情報に接触することで、ますます不安を強めているという構図だ(図表12)。

このほか、性・年代別には、男女若い年代で「動画配信サービスの視聴」や「SNSの投稿や閲覧」、「メールやLINEによるコミュニケーション」が、30~40歳代の男性で「ネットサーフィン」が、30~40歳代の女性で「掃除」や「料理」が増える傾向が見られた(図表13)。
図表13 性・年代別に見た外出抑制で増えた行動

5――おわりに

5――おわりに~時には情報を遮断して不安感を不要に高めない、メディア側は退院者数など正の情報も

本稿では、全国一斉休校の政府要請が出た直後に、全国約6千名を対象に実施した定量調査を用いて、新型コロナへの不安の状況を捉えた。その結果、子どもの休校の影響を受けやすい女性、休業が収入減少に直結しやすいフリーランス、出社制限下でのマネジメントを担う管理職層などで不安が強かった。なお、当調査の対象は50歳代までだが、重症化リスクの高い高齢者層でも不安は強いだろう。また、マスメディアや情報収集志向の高い層で不安が強い傾向があり、不安が強い層ほど外出を控え、TV視聴やネット検索によって、一層不安を募らせるという構図も見えた。

新型コロナの終息、あるいは収束が見えずに、今、誰しもが不安を抱えている。日々、世界各国で感染者数が増える中で、不安を軽減させることは容易なことではない。一方で、当調査の結果から、生活者自らが不安のスパイラルを回している様子も見えた。まだ不確かな情報も少なくない中では、時には、ある程度、意識的に情報を遮断する時間を作ることも必要ではないか。

未知の感染症との闘いは今後もしばらく続くという見方もある。このような中で、個人ができることは、自分の生活をしっかりと守ることだ。休業給付や個人への貸付、公共料金の支払い猶予等の政府の支援策を十分に把握する一方で、不安感を不要に高めるような情報を自ら探すのではなく、日々の健康管理など、すべきことをしっかりとやっていくことが精神の健康にもつながる。季節は桜の見頃を迎えようとしている。時には桜を見ながら、ほっと一息をつくことが、見えない敵と戦う上で有効なのではないだろうか。

また、情報を出すメディア側には、退院者数やその前日比、治った方やご家族の声など、生活者が安心できる情報も同時に出して頂くことを求めたい。負の情報だけでなく、正の情報もあわせて見ることで、生活者は現状をより冷静に捉えられるのではないか。
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

(2020年03月23日「基礎研レポート」)

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