- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 対応を急ぐ企業の資金繰り支援策-金融円滑化法の復活も検討される
対応を急ぐ企業の資金繰り支援策-金融円滑化法の復活も検討される
総合政策研究部
常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次
総合政策研究部
准主任研究員 鈴木 智也
1――第2弾までの金融経済対策は「総額1.6兆円」規模、日銀も動き出す
さらに金融庁は、リーマン・ショック時の2009年から2013年まで実施してきた「中小企業金融円滑化法」の枠組みを実質的に復活させ、資金繰り支援を一気に強化する動きも見せている。金融円滑化法は、当時「モラトリアム法」とも呼ばれ、本来であれば市場から退場すべき「ゾンビ企業」を延命したとして批判も強かった。しかし、足元では長引く経済活動の自粛により、企業の経営は急速に悪化しつつある。今のところ、金融システムの健全性は維持されているため、クレジット・クランチ(信用収縮)が生じる事態とはなっていないが、多くの企業が支払い等の集中する年度末を迎える中、資金繰りへの対策が急務となっている。
2――総動員された企業の資金繰り支援策
他方、日本政策金融公庫が担うのは、業況が一時的に悪化した中小企業が、経営基盤の強化を図る際に利用することのできる「セーフティネット貸付」だ。2月13日に発表された緊急対応策第1弾では、セーフティネット貸付の対象となる要件を緩和している。さらに、3月10日に発表された緊急対応策の第2弾では、中小企業やフリーランスを含む個人事業主が、実質的に無利子・無担保で融資を受けることのできる「特別貸付制度」を新たに創設した。売上高が前年または前々年の同期比▲5%以上減少している等の要件3を満たせば、特別貸付を受けられる(融資限度額は、フリーランス等の個人事業主も含む小規模事業者は6,000万円、中小企業者は3億円。)すでに第1弾で緊急融資を受けた企業も要件を満たせば、今年1月29日まで遡って同制度を利用することができる。特別貸付では、3年間は基準利率から▲0.9%となる金利で融資を受けることが可能だ(ただし、金利引き下げの対象となる限度額は、小規模事業者が3,000万円、中小企業者が1億円まで)。また、より厳しい経営状況に置かれている事業者のためとして、一定の要件を満たした中小企業者等に対して、基準金利から▲0.9%が適用される部分について利子補給が受けられる「特別利子補給制度」も準備している。
1 中小企業庁HPを参照「https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_4gou.htm」
2 中小企業庁HPを参照「https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_5gou.htm」
3 日本政策金融公庫HPを参照「https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html」
4 日本経済新聞社「資金繰り支援 機動的に 金融庁長官、円滑化法「復活」」(2020年3月17日)
3――年度末を迎える中、中小企業等への万全な資金繰り支援策を
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。


(2020年03月19日「研究員の眼」)
ソーシャルメディア
新着記事
-
2022年05月20日
数字の「17」は結構興味深い数字だって知っていますか -
2022年05月20日
消費者物価(全国22年4月)-コアCPI上昇率は、消費税引き上げの影響を除くと08年9月以来の2%台 -
2022年05月20日
夏の参院選に思う~次の世代により良い社会を引き継ぐために~ -
2022年05月20日
米国の不妊治療の現状とは?-米国の生産性が日本と比べて10.1%ポイントも高く、35歳未満での治療が12.2%ポイントも高い特徴- -
2022年05月19日
2022・2023年度経済見通し(22年5月)
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2022年05月17日
News Release
-
2022年04月21日
News Release
-
2022年04月04日
News Release
【対応を急ぐ企業の資金繰り支援策-金融円滑化法の復活も検討される】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
対応を急ぐ企業の資金繰り支援策-金融円滑化法の復活も検討されるのレポート Topへ