コラム
2020年03月06日

天気予報にでてくる単位(3)-風速と台風

保険研究部 主任研究員 年金総合リサーチセンター・気候変動リサーチセンター兼任 安井 義浩

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

(風速)
風は、場所によって異なる気圧が、調整されることによって生じる。

日常会話やニュースで単に「風速30メートル」といったら、正確には「秒速30メートル」である。

風の強さを表すのに「風力」という言葉を天気図などで用いることがあるが、それは以下のように決められている。
風力
ここに「ノット(knot)」という速さの単位がでている。これは「海里」という長さの単位を用いて表現した速さで、

1ノット = 1海里/1時間 = 1.852km/時間 = 0.514m/秒 
(つまり1ノット = 時速1.852キロメートル = 秒速0.514メートル) 

となっている。

風の強さについては、気象庁によれば現時点では以下のようにまとめられている。
風の強さ
先に述べた「気圧」そして今回「風速」と来れば、いよいよ台風の話にふれないわけにはいかないのだが、それだと話が拡がりすぎて、単位の話の片手間に語るにはもったいない(もちろん、どの単位の話題もそうなのだが)。
 
ここでは最近少し話題になった、「台風の名前」についてだけ触れる1。これまでに気象庁が命名した台風は以下のものである。
気象庁が命名した台風
「熱帯低気圧」(熱帯の海上で発生する低気圧)のうち、北西太平洋または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速が17m/s(風力8相当)以上のものを、台風と呼ぶと定義されている。
 
その名前については、過去に自然発生的な名称として、室戸台風(1934年)、枕崎台風(1945年)といったものがあった。また戦後まもない時期に米軍占領下で命名された「カスリーン台風(1947年)」「キティ台風(1949年)」「ジェーン台風(1950年)」など、大きな被害がでたために印象的に取り上げられる台風もあった。

その後、顕著な災害をもたらした自然現象については、後世に経験や教訓を伝承することなどを目的に、気象庁が公式に名称を定めることになったのだが、その最初のものが、1958年(昭和33年)の狩野川台風と、少し時をさかのぼった洞爺丸台風である2
 
そして先般、2019年に大きな災害をもたらした台風に、久々に公式に名前が付けられたことが発表され、

9月の台風15号には「令和元年房総半島台風」
10月の台風19号には「令和元年東日本台風」

という名称とされた。
 
命名されるような自然現象は台風に限らず、豪雨、地震、噴火などもあるが、台風については、意外に少なくて、名前が付けられた台風は上記のものだけである。今回の台風の命名は1977年沖永良部台風以来のことで、平成には一度もなかったことになる。(印象としては、毎年いろいろ被害がでていたような気もするのだが、それは台風によるものではない豪雨だったのだろう。)
 
1 「令和元年に顕著な災害をもたらした台風の名称について」https://www.jma.go.jp/jma/press/2002/19a/20200219_typhoonname.pdf
2 気象庁命名台風のリストの中に、「室戸台風」はなくて「第2室戸台風」はあるのは、そういう経緯なのであった。
Xでシェアする Facebookでシェアする

このレポートの関連カテゴリ

保険研究部   主任研究員 年金総合リサーチセンター・気候変動リサーチセンター兼任

安井 義浩 (やすい よしひろ)

研究・専門分野
保険会計・計理、共済計理人・コンサルティング業務

(2020年03月06日「研究員の眼」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【天気予報にでてくる単位(3)-風速と台風】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

天気予報にでてくる単位(3)-風速と台風のレポート Topへ