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- 2019年のJリート市場は21%上昇。国内株を2年連続で上回る~Jリート市場のバリュエーションをいま一度確認する~
コラム
2020年01月07日
図表2は、現在の市場ファンダメンタルズ「1口当たり予想分配金、1口当たりNAV(Net Asset Value:解散価値)、10年国債利回り」をベースに計算した、東証REIT指数の「分配金利回り」、「イールドスプレッド(分配金利回りと10年国債利回りとの差)」、「NAV倍率」を示しています。
まず、2019年12月末現在のイールドスプレッドは3.6%で過去平均(3.4%)と比較して割安な水準(騰落率+5%)にあります。次に、NAV倍率は1.21xで過去平均(1.16x)と比較して割高な水準(騰落率▲4%)にあります。このようにしてみると、現在のバリュエーションは概ね妥当な水準にあると言えそうです。なお、東証REIT指数が昨年の最高値(2,257)まで上昇した場合、イールドスプレッドは3.4%(=過去平均)、NAV倍率は1.27xとなります。また、東証REIT指数が昨年の最安値(1,751)まで下落した場合、イールドスプレッドは4.4%、NAV倍率は0.99x(=NAV)となります。
もっとも、市場は将来のファンダメンタルズ(期待)も織り込んで価格を形成します。そこで、一定の前提条件をもとに作成した将来のファンダメンタルズ(今後4年間)1をベースに計算した、東証REIT指数のバリュエーションを確認しましょう(図表3)。
まず、イールドスプレッドは「3.6%~3.8%」の範囲にあり、引き続き過去平均(3.4%)と比較して割安な水準を維持する見通しです。次に、NAV倍率は1年後に過去平均(1.16x)とほぼ同水準となり、4年後には解散価値に等しい1倍まで低下します。つまり、NAV倍率でみて割高にみえる現在の価格はNAVの成長期待を織り込んだ水準にあるとも言えます。
まず、2019年12月末現在のイールドスプレッドは3.6%で過去平均(3.4%)と比較して割安な水準(騰落率+5%)にあります。次に、NAV倍率は1.21xで過去平均(1.16x)と比較して割高な水準(騰落率▲4%)にあります。このようにしてみると、現在のバリュエーションは概ね妥当な水準にあると言えそうです。なお、東証REIT指数が昨年の最高値(2,257)まで上昇した場合、イールドスプレッドは3.4%(=過去平均)、NAV倍率は1.27xとなります。また、東証REIT指数が昨年の最安値(1,751)まで下落した場合、イールドスプレッドは4.4%、NAV倍率は0.99x(=NAV)となります。
もっとも、市場は将来のファンダメンタルズ(期待)も織り込んで価格を形成します。そこで、一定の前提条件をもとに作成した将来のファンダメンタルズ(今後4年間)1をベースに計算した、東証REIT指数のバリュエーションを確認しましょう(図表3)。
まず、イールドスプレッドは「3.6%~3.8%」の範囲にあり、引き続き過去平均(3.4%)と比較して割安な水準を維持する見通しです。次に、NAV倍率は1年後に過去平均(1.16x)とほぼ同水準となり、4年後には解散価値に等しい1倍まで低下します。つまり、NAV倍率でみて割高にみえる現在の価格はNAVの成長期待を織り込んだ水準にあるとも言えます。
市場価格が勢いよく上昇すればさらに上昇するのではと楽観し、市場価格が急落すればさらに下落するのではと不安に陥るのは人情かと思います。一方で、割高・割安を判断するバリュエーション指標は価格と反対の動きを示すため、価格が下落(上昇)するほど投資の魅力度は向上(低下)します。
長期投資を志向する投資家は目先の価格変動に一喜一憂することなく、自らの投資目線(バリュエーション)に沿った運用を心掛けたいものです。
1 1口当たり分配金は「J-REIT市場の収益見通し。今後5年で分配金6%成長を見込む」(岩佐 浩人、基礎研レポート、2019年11月7日)、10年国債利回りは「中期経済見通し(2019~2029年度)」(ニッセイ基礎研究所、Weekly エコノミスト・レター、2019年10月15日)を参照。1口当たりNAVは便宜上、過去の平均成長率(年率4%)を適用。
長期投資を志向する投資家は目先の価格変動に一喜一憂することなく、自らの投資目線(バリュエーション)に沿った運用を心掛けたいものです。
1 1口当たり分配金は「J-REIT市場の収益見通し。今後5年で分配金6%成長を見込む」(岩佐 浩人、基礎研レポート、2019年11月7日)、10年国債利回りは「中期経済見通し(2019~2029年度)」(ニッセイ基礎研究所、Weekly エコノミスト・レター、2019年10月15日)を参照。1口当たりNAVは便宜上、過去の平均成長率(年率4%)を適用。
(ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
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経歴
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
(2020年01月07日「研究員の眼」)
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