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- 国内株式の逆張り投資は有効か~長期的には買い持ちに劣後する可能性~
コラム
2019年11月15日
逆張りされる国内株式
長期的には買い持ちに負ける可能性
アベノミクス相場が始まる前の2011年末に配当込み日経平均株価1(線グラフ)は1万2,000円を下回っていたが、足元2019年11月時点では3万7,000円台まで上昇している。この約8年間で株価は3.2倍になった。その一方でインデックス・ファンドの純資産総額(青面グラフ)は同期間で1.1兆円から1.9兆円と1.7倍にしかなっていないのである。当然、純資産総額が伸び悩んだ要因として分配金や売却などによるインデックス・ファンドからの資金流出の影響もある。実際にこの期間のインデックス・ファンドから支払われた分配金(緑面グラフ)は0.1兆円弱、売り越し額(黄面グラフ)は0.9兆円あった。ただ、それらの資金流出を考慮してもインデックス・ファンドの純資産総額は1.1兆円から2.9兆円(=1.9兆円+0.1兆円+0.9兆円)に、つまり2.6倍程度しかなっておらず、株価上昇と比べると劣後していることが分かる。この期間のインデックス・ファンドの運用コスト(信託報酬)は累計でも0.1兆円いかないので、劣後した原因の大部分は途中で売買した影響といえるのだ。
たとえば、2011年時点で日経平均株価に連動するインデックス・ファンドに1万円を投資し、保有し続けた場合、2019年には3万2,000円になったはずである。それが1万円を投資した後にインデックス・ファンド全体と同じように一部を売買すると、売買コストがかからなかったとしても2万6,000円にしかならなかったことを意味している。まさに、インデックス・ファンド全体でみると途中で売買(逆張り投資)を行ったため、この期間の株価の上昇の8割(=2万6,000円/3万2,000円)程度しか享受できなかったといえよう。
1 集計した国内株式インデックス・ファンドの足元の純資産総額1.9兆円のうち、1.5兆円が日経平均株価に連動するファンドである。また、インデックス・ファンドの実際の運用に沿わせるため、配当込み日経平均株価を用いた。
たとえば、2011年時点で日経平均株価に連動するインデックス・ファンドに1万円を投資し、保有し続けた場合、2019年には3万2,000円になったはずである。それが1万円を投資した後にインデックス・ファンド全体と同じように一部を売買すると、売買コストがかからなかったとしても2万6,000円にしかならなかったことを意味している。まさに、インデックス・ファンド全体でみると途中で売買(逆張り投資)を行ったため、この期間の株価の上昇の8割(=2万6,000円/3万2,000円)程度しか享受できなかったといえよう。
1 集計した国内株式インデックス・ファンドの足元の純資産総額1.9兆円のうち、1.5兆円が日経平均株価に連動するファンドである。また、インデックス・ファンドの実際の運用に沿わせるため、配当込み日経平均株価を用いた。
最後に
株価上昇を十分に享受できなくても、「利益さえ出ればいい」もしくは「損さえ出なければいい」から逆張り投資で十分いう考え方もある。また、株価が上昇して含み益が出ていると、売却して利益確定したくなることも事実である。国内株式については低迷した期間が長かっただけに、多くの投資家が上昇局面に慣れてなく高所(高値)恐怖症になり易いことも、背景にあるのかもしれない。
ただ、確認してきたように短期的な売買(特に利益確定の売却)はそのときはよくても、結果的に将来の収益機会の損失につながる可能性がある。そのことを踏まえると足元9月以降、国内株式は堅調であるが、株価上昇時でも不要不急の売買は控えられるような長い眼を持つことが大きく収益を得るには重要だと考えられる。
ただ、確認してきたように短期的な売買(特に利益確定の売却)はそのときはよくても、結果的に将来の収益機会の損失につながる可能性がある。そのことを踏まえると足元9月以降、国内株式は堅調であるが、株価上昇時でも不要不急の売買は控えられるような長い眼を持つことが大きく収益を得るには重要だと考えられる。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
(2019年11月15日「研究員の眼」)
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