2019年10月10日

企業物価指数(2019年9月)-国内企業物価は前年比で下落幅が拡大

経済研究部 研究員   藤原 光汰

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1.国内企業物価は前年比▲1.1%と下落幅を拡大

国内企業物価指数(前年比・前月比)の推移 10月10日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2019年9月の国内企業物価指数は前年比▲1.1%(8月:同▲0.9%)と4ヵ月連続のマイナスとなり、事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲1.1%、当社予想は同▲1.0%)通りの結果となった。
国内企業物価指数の前月比寄与度分解 原油価格の下落を反映し、石油・石炭製品が前年比▲11.9%(8月:同▲9.9%)と4ヵ月連続のマイナスとなり、前月から下落幅を拡大させたことが国内企業物価指数を押し下げる要因となった。

国内企業物価指数の前月比は0.0%(8月:同▲0.3%)と前月から横ばいとなった。一方、夏季電力料金引き上げの影響を除いた国内企業物価指数の前月比は▲0.1%(8月:同▲0.2%)と5ヵ月連続でマイナスとなった。

内訳をみると、中国の景気減速を背景とした銅価格の下落を受けて、軟調に推移していた非鉄金属が前月比0.1%(8月:同▲0.9%)と5ヵ月ぶりに上昇した。また、9月上旬に日本を襲った台風15号の影響で供給が減り、鶏卵が前月比22.3%(8月:同0.9%)と大幅に上昇したことを受けて、農林水産物が同1.1%(8月:同▲0.1%)と4ヵ月ぶりにプラスに転じた。一方、原油価格の下落により石油・石炭製品は前月比▲0.1%(8月:同▲2.0%)と5ヵ月連続の下落となったほか、電力・都市ガス・水道が前月比▲0.7%(8月:同▲1.1%)となった。

2.輸入物価は再び下落に転じる

9月の輸入物価指数は、契約通貨ベースでは前月比▲1.2%(8月:同0.9%)と2ヵ月ぶりのマイナスとなった。一方、9月のドル円相場では、前月比1.1%の円安水準となったことから、円ベースでは前月比▲0.4%(8月:同▲0.5%)と5ヵ月連続のマイナスとなった。
輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 契約通貨ベースで輸入物価指数の内訳をみると、原油価格の下落に伴い、石油・石炭・天然ガスが前月比▲4.3%(8月:同1.7%)と大幅に下落した。内訳を見ると、原油(8月:前月比2.9%→9月:同▲6.2%)、天然ガス(8月:同6.1%→9月:同▲3.8%)が大きく下落している。また、電気・電子機器が前月比▲0.2%(8月:同0.1%)と2ヵ月ぶりにマイナスに転じた。一方、アジア向けの堅調な需要を背景としたニッケル価格の上昇を受けて、金属・同製品は前月比1.1%(8月:同3.9%)と2ヵ月連続の上昇となった。

為替レートは一進一退の動きが続いているが、原油価格(ドバイ)は上値の重い展開が続いていること、世界需要の減速を反映した国際商品市況の低調な推移により、輸入物価指数は先行きも弱めの動きが続くと予想される。

3.国際商品市況を反映し素原材料は下落幅が拡大

需要段階別指数の推移 9月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比▲10.6%(8月:同▲8.4%)、中間財が前年比▲2.6%(8月:同▲2.3%)、最終財が前年比▲1.7%(8月:同▲1.7%)となり、すべての需要段階でマイナスとなった。素原材料は国際商品市況を反映しやすく、原油や非鉄金属などの資源価格の下落が影響している。当面は素原材料の下落が後ズレして中間財、最終財の価格に波及すると考えられる。

また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比▲2.2%(8月:同▲2.1%)と5ヵ月連続のマイナスとなり、下落幅を拡大させた。

2019年10月に消費税率が引き上げられ、それに合わせて国内企業物価指数も増税分だけ上昇する。前回の増税時(2014年4月:5%→8%)は、経過措置の適用期間終了後にはすべての品目が約3%押し上げられたが、今回(8%→10%)は食料品などが軽減税率の対象となるため、すべての品目が約2%押し上げられる訳ではない。軽減税率制度や経過措置の対象となる具体的な品目は、日本銀行により国内企業物価指数の10月速報の際に公表される。

国際商品市況が軟調に推移する中、国内企業物価指数は今後も弱い動きが続く公算が大きい。消費税率引き上げ分を含めても、10月の国内企業物価はゼロ近傍の伸びに留まると予想する。
 
 

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経済研究部   研究員

藤原 光汰 (ふじわら こうた)

研究・専門分野
日本経済

(2019年10月10日「経済・金融フラッシュ」)

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