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- 株式相場に左右される株式ファンドの売買~2019年9月の投信動向~
コラム
2019年10月03日
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投信販売が急減速
株価上昇が株式ファンドの販売の重しに
その一方で国内株式は、8月の600億円の資金流入から9月は2,200億円の資金流出に転じた。4月の2,700億円の資金流出に迫る規模であった。国内株式のインデックス・ファンド(SMA専用、DC専用は除く)には8月に850億円の資金流入があったが、9月は一転して1,200億円の資金流出となった。それに加えて、9月は国内株式のアクティブ・ファンドからの資金流出も8月以上に増加した。国内株式はファンドのタイプによらず総じて売却された形である。9月は月を通じて国内株式が好調であったため、利益確定のため売却する投資家が多かったようだ。
また、外国株式も資金流入こそしたが、240億円と8月の1,560億円から大きく鈍化した。世界的に株価が上昇したことが影響したものと思われる。2019年以降の外国株式の資金動向(緑棒)をみると、国内株式(黄棒)と同様に2月以降は株価の動向に左右されている傾向が確認できる【図表3】。世界的に株価(MSCIコクサイ:緑線)が下落した5月、8月は資金流入がある一方で、上昇した2月、3月、4月、7月は資金流出、もしくは流入が鈍化した。なお、6月は株価が上昇しているが、1,000億円を超える資金流入であった。これは新設された外国株式ファンドの大規模設定の影響であり、既存ファンドに限ると資金流出だった。
外国株式では、足元でも投資家の人気を集めるファンド【図表2:青太字】がある。しかし、2018年以前のように投資家の人気を集めるテーマが少なく、また米中問題や世界経済の先行きに対する不透明感も強い。そのため、特に株価が高値圏にあると外国株式への投資を控える、もしくは保有している場合は国内株式と同様に利益確定するため売却する投資家が多いのかもしれない。
また、外国株式も資金流入こそしたが、240億円と8月の1,560億円から大きく鈍化した。世界的に株価が上昇したことが影響したものと思われる。2019年以降の外国株式の資金動向(緑棒)をみると、国内株式(黄棒)と同様に2月以降は株価の動向に左右されている傾向が確認できる【図表3】。世界的に株価(MSCIコクサイ:緑線)が下落した5月、8月は資金流入がある一方で、上昇した2月、3月、4月、7月は資金流出、もしくは流入が鈍化した。なお、6月は株価が上昇しているが、1,000億円を超える資金流入であった。これは新設された外国株式ファンドの大規模設定の影響であり、既存ファンドに限ると資金流出だった。
外国株式では、足元でも投資家の人気を集めるファンド【図表2:青太字】がある。しかし、2018年以前のように投資家の人気を集めるテーマが少なく、また米中問題や世界経済の先行きに対する不透明感も強い。そのため、特に株価が高値圏にあると外国株式への投資を控える、もしくは保有している場合は国内株式と同様に利益確定するため売却する投資家が多いのかもしれない。
トルコ関連ファンドが好調
9月にパフォーマンスが良好であったファンドをみると、トルコ関連ファンド(赤太字)が好調であったことが分かる【図表4】。9月は円安に加えてトルコ・リラ高も進行し、トルコ・リラは対円で4%以上上昇したことなどが追い風になった。
トルコ関連ファンドの中で純資産総額が大きいトルコ・リラ通貨選択型ファンドの資金動向(棒グラフ)をみると、2018年3月から足元まで資金流出基調が続いている。特にトルコ・リラが急落した2018年8月の「トルコショック」の時には100億円を超える資金流出があった。ただ、トルコショック以降は流出金額が大きくても40億円程度であり、小規模な資金流出となっている。純資産総額(線グラフ)をみても、トルコショック以降は2100億円程度で安定している。トルコショックを経験したにもかかわらず、その後もトルコ・リラ通貨選択型ファンドに辛抱強く投資している投資家が意外に多いようだ。
トルコ関連ファンドの中で純資産総額が大きいトルコ・リラ通貨選択型ファンドの資金動向(棒グラフ)をみると、2018年3月から足元まで資金流出基調が続いている。特にトルコ・リラが急落した2018年8月の「トルコショック」の時には100億円を超える資金流出があった。ただ、トルコショック以降は流出金額が大きくても40億円程度であり、小規模な資金流出となっている。純資産総額(線グラフ)をみても、トルコショック以降は2100億円程度で安定している。トルコショックを経験したにもかかわらず、その後もトルコ・リラ通貨選択型ファンドに辛抱強く投資している投資家が意外に多いようだ。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2019年10月03日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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