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- 「福岡オフィス市場」の現況と見通し(2019年)
2019年07月24日
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1. はじめに
福岡市では、IT関連企業等を中心とした新規開設や面積拡張のほか、天神地区の再開発に伴う立ち退き移転も進んでおり、空室が減少している。こうした需給の逼迫を反映し、成約賃料の上昇ペースが加速している。本稿では、福岡のオフィス市況を概観した上で、2023年までの賃料予測を行う。
2. 福岡オフィス市場の現況
2-1. 空室率および賃料の動向
福岡のオフィス空室率は、全国主要都市と同様に低下傾向で推移している。三幸エステートによると、福岡市の空室率(2018年12月時点)は2.5%となり、2017年末の2.8%から更に低下した(図表1)。福岡では、2010年以降、オフィスの新規供給量は、年間10,000坪を上回ることはなく、低水準に留まっている。一方、IT関連企業やコールセンターを中心とした新規開設や面積拡張のほか、天神地区の再開発に伴う立ち退き移転も進んでおり、オフィス需要は堅調であり、空室は減少している。
福岡市の空室率を規模1別にみると、2016年以降、小型ビルと中規模以上のビルの間に、格差が生じてきている。2018年12月時点の空室率は、「小型ビル」が7.6%であるのに対して、「大規模ビル」が1.6%、「大型ビル」が1.5%、「中型ビル」が3.9%と低水準であった。特に、移転集約等を受け皿となる高スペックな大型ビルの空室は少ない模様である(図表2)。
福岡のオフィス空室率は、全国主要都市と同様に低下傾向で推移している。三幸エステートによると、福岡市の空室率(2018年12月時点)は2.5%となり、2017年末の2.8%から更に低下した(図表1)。福岡では、2010年以降、オフィスの新規供給量は、年間10,000坪を上回ることはなく、低水準に留まっている。一方、IT関連企業やコールセンターを中心とした新規開設や面積拡張のほか、天神地区の再開発に伴う立ち退き移転も進んでおり、オフィス需要は堅調であり、空室は減少している。
福岡市の空室率を規模1別にみると、2016年以降、小型ビルと中規模以上のビルの間に、格差が生じてきている。2018年12月時点の空室率は、「小型ビル」が7.6%であるのに対して、「大規模ビル」が1.6%、「大型ビル」が1.5%、「中型ビル」が3.9%と低水準であった。特に、移転集約等を受け皿となる高スペックな大型ビルの空室は少ない模様である(図表2)。
1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
2 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
2-2. オフィス市場の需給動向
三鬼商事によると、福岡ビジネス地区では、総ストックを表す賃貸可能面積は、低水準の新規供給が続いた影響や、築古ビルの取り壊し等が進んだことで、2009年末の68.7万坪から2018年末の69.8万坪へと10年間で1.1万坪の増加に留まった。テナントによる賃貸面積は、2009年末の58.2万坪から2018年末の68.4万坪へと10年間で10.2万坪の大幅増加となった(図表6)。
この結果、福岡ビジネス地区の空室面積は2009年末の10.6万坪をピークにして減少し、2018年末には1.4万坪(前年比▲0.7万坪)となり、ファンドバブル期のボトムである5.1万坪(2007年末)を大幅に下回った。
三鬼商事によると、福岡ビジネス地区では、総ストックを表す賃貸可能面積は、低水準の新規供給が続いた影響や、築古ビルの取り壊し等が進んだことで、2009年末の68.7万坪から2018年末の69.8万坪へと10年間で1.1万坪の増加に留まった。テナントによる賃貸面積は、2009年末の58.2万坪から2018年末の68.4万坪へと10年間で10.2万坪の大幅増加となった(図表6)。
この結果、福岡ビジネス地区の空室面積は2009年末の10.6万坪をピークにして減少し、2018年末には1.4万坪(前年比▲0.7万坪)となり、ファンドバブル期のボトムである5.1万坪(2007年末)を大幅に下回った。
2-3. 空室率と募集賃料のエリア別動向
2018年末時点で最も賃貸可能面積が大きいエリアは、「天神地区(23.7%)」で、次いで「博多駅前地区(22.8%)」、「博多駅東・駅南地区(16.0%)」、「祇園・呉服町地区(15.6%)」、「薬院・渡辺通地区(12.0%)」、「赤坂・大名地区(9.9%)」の順となっている(図表8)。
築古ビルの滅失等によって「祇園・呉服町地区」(前年比▲2.0千坪)や「天神地区」(▲1.5千坪)の賃貸可能面積は減少したが、「博多駅前地区」(前年比+3.3千坪)や「博多駅東・駅南地区」(前年比+0.2千坪)の賃貸可能面積は増加した。結果、「福岡ビジネス地区」の賃貸可能面積は前年と同水準になった。一方、賃貸面積は、「祇園・呉服町地区」を除く全ての地区で増加した。この結果、空室面積は、全ての地区で減少し、計▲7.2千坪減少した(図表9)。
2018年末時点で最も賃貸可能面積が大きいエリアは、「天神地区(23.7%)」で、次いで「博多駅前地区(22.8%)」、「博多駅東・駅南地区(16.0%)」、「祇園・呉服町地区(15.6%)」、「薬院・渡辺通地区(12.0%)」、「赤坂・大名地区(9.9%)」の順となっている(図表8)。
築古ビルの滅失等によって「祇園・呉服町地区」(前年比▲2.0千坪)や「天神地区」(▲1.5千坪)の賃貸可能面積は減少したが、「博多駅前地区」(前年比+3.3千坪)や「博多駅東・駅南地区」(前年比+0.2千坪)の賃貸可能面積は増加した。結果、「福岡ビジネス地区」の賃貸可能面積は前年と同水準になった。一方、賃貸面積は、「祇園・呉服町地区」を除く全ての地区で増加した。この結果、空室面積は、全ての地区で減少し、計▲7.2千坪減少した(図表9)。
(2019年07月24日「不動産投資レポート」)
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経歴
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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