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コラム
2019年06月28日
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図表2の通り、(1)分配金は2015年から現在まで累計で31%増加し毎年プラスに寄与しています。次に、(2)10年金利は累計で0.46%低下し(0.32%⇒-0.14%)、2017年を除いて毎年プラスに寄与しています。これに対して、(3)リスクプレミアムは不安定な動きを示しています。2015年から2017年にかけてリスクプレミアムは1.4%上昇(2.7%⇒4.1%)し、大きくマイナスに寄与しました。つまり、分配金の増加や10年金利が低下したにもかかわらずリスクプレミアムの上昇がその効果を打ち消してしまい、この間に東証REIT指数は12%下落しました。リスクプレミアム上昇は、不動産市況のピークアウト懸念や世界的な金利上昇、Jリート投信からの資金流出が理由として挙げられます。しかし、18年以降はこれらの懸念が払拭されリスクプレミアムは落ち着きを取り戻しています。この結果、Jリート市場は分配金の増加や10年金利の低下を素直に反映し上昇していると言えます。
最後に、今後の見通しについてです。図表3の通り、Jリートの分配金は足もと年率6%程度のペースで増加していますが、分配金の源泉となる賃貸市場が堅調なため、引き続き成長が見込まれます。10年金利については既に十分低い水準ですが、景気の先行き不透明感もあり市場では追加緩和の可能性が指摘されています。一方で、リスクプレミアムは将来の期待を織り込んで動くため予想は難しいものの、現行水準(4.0%)は過去平均(3.4%)と比べて高く、大きく上昇するリスクは限定的でしょう。このように考えると、年初来高値の水準にあるJリート市場ですが、外部環境が大きく変動しない限り、引き続き底堅い展開が期待できそうです。
最後に、今後の見通しについてです。図表3の通り、Jリートの分配金は足もと年率6%程度のペースで増加していますが、分配金の源泉となる賃貸市場が堅調なため、引き続き成長が見込まれます。10年金利については既に十分低い水準ですが、景気の先行き不透明感もあり市場では追加緩和の可能性が指摘されています。一方で、リスクプレミアムは将来の期待を織り込んで動くため予想は難しいものの、現行水準(4.0%)は過去平均(3.4%)と比べて高く、大きく上昇するリスクは限定的でしょう。このように考えると、年初来高値の水準にあるJリート市場ですが、外部環境が大きく変動しない限り、引き続き底堅い展開が期待できそうです。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年06月28日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
岩佐 浩人のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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