コラム
2019年04月17日

日本株式に強気になれない投資家も~インデックス・ファンド、ブルベアETFの資金動向~

金融研究部 主任研究員 前山 裕亮

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久々の日経平均2万2,000円台

日本株式は、4月に入り中国の景気底打ち期待などから上昇して始まったものの、その後は日経平均株価が2万1,700-1,800円台で推移するなど、やや方向感の乏しい展開が続いた。それが15日に日経平均株価が昨年12月以来、約4カ月ぶりに2万2,000円台を回復し、一段高の展開となっている。
 
このような中、投資家がどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。

インデックス・ファンドは大規模な資金流出

足元のインデックス・ファンド1の日次の資金動向をみると、4月に入ってから資金流出基調であるが、4月2日から続いていた100億円前後の大規模な資金流出は、9日に一旦収まっていた【図表1】。
【図表1】 インデックス・ファンドの日次推計資金流出入
それが、日経平均株価が年初来最高値を更新した翌営業日の15日、16日には再び大規模な資金流出となった(赤点線)。特に日経平均株価が2万2,000円を超えた翌営業日の16日の流出金額は250億円に及んだ。2019年に入ってから最大でも100億円程度の資金流出であったことを踏まえると、16日の資金流出がいかに大きかったかが分かる。
 
1 日本籍追加型株式投信でTOPIXや日経平均株価などの日本株式の指数に連動した運用をしているもの。ただし、ETF、SMA専用、DC専用は除外。

強気型ETFも売られる

では、インデックス・ファンドより短期投資に用いられる株価が上がると大きく値上がりする強気型ETF、株価が下がると大きく値上がりする弱気型ETFの資金動向はどうだったのか。代表的な強気型ETFである「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信2」と代表的な弱気型ETFである「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信3」の足元の日次推計資金流出入をみたものが【図表2】である。
 
強気型ETFも10日以降は目立った資金の出入りがなかったが、16日に300億円に迫る資金流出があった(赤点線)。強気型ETFにおいても2019年に入ってから最大の資金流出であった。なお、弱気型ETFは12日に200億円に迫る資金流出があったが、その他、目立った動きはみられなかった。
【図表2】 強気型ETFと弱気型ETFの日次推計資金流出入
 
2 概ね日経平均株価の2倍動くETF
3 概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETF

最後に

日本株式は足元、久々の高値圏にある。海外投資家が積極的に買った結果だと思われるが、その一方でインデックス・ファンドや強気型ETFは売却されていた。特に短期投資に用いられる傾向が強い強気型ETFよりもインデックス・ファンドで顕著であった。10連休前に一旦、手仕舞いたいというという特殊な事情もあるかもしれないが、足元の高値で利益確定のため売却をする投資家が多かったことがうかがえる。やはり、日本株式に強気になれないのかもしれない。
 
 

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
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金融研究部   主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・投資信託・資産運用全般

経歴
  • 【職歴】
    2008年 大和総研入社
    2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
    2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
    2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
    2022年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)

(2019年04月17日「研究員の眼」)

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