コラム
2019年04月09日

当面、日経平均2万1,500円を意識か~インデックス・ファンド、ブルベアETFの資金動向~

金融研究部 主任研究員 前山 裕亮

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4月に入って上昇に転じた日本株式

日本株式は3月の月末にかけて値動きが荒い展開が続いていたが、4月に入って中国の景気底打ち期待も高まったことなどから上昇に転じた。足元、日経平均株価は21,700円台と3月4日につけた年初来高値(21,822円)目前まで迫っている。
 
このような中、投資家がどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。

インデックス・ファンドは資金流出

足元のインデックス・ファンド1の日次の資金動向をみると、4月2日以降は資金流出が続いていることが分かる【図表1:赤点線】。しかも、流出金額は連日100億円前後と3月に見られなかったほど大規模であった。新年度に入ったばかりという特殊な要因もあるかもしれないが、やはり日経平均株価が21,500円を超えたあたりから利益確定の売却が膨らんでいると推察される。
【図表1】 インデックス・ファンドの日次推計資金流出入
 
1 日本籍追加型株式投信でTOPIXや日経平均株価などの日本株式の指数に連動した運用をしているもの。ただし、ETF、SMA専用、DC専用は除外。

強気型ETFも売られる

では、インデックス・ファンドより短期投資に用いられる株価が上がると大きく値上がりする強気型ETF、株価が下がると大きく値上がりする弱気型ETFの資金動向はどうだったのか。代表的な強気型ETFである「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信2」と代表的な弱気型ETFである「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信3」の足元の日次推計資金流出入をみたものが【図表2】である。
 
強気型ETFは4月3日以降、大規模な資金流出が続いていることが分かる。インデックス・ファンドと同様に日経平均株価21,500円を意識した売買がされていたと思われる。その一方で、弱気型ETFは日経平均株価が21,700円台で推移している4日以降は資金流入が続いている。つまり、4月に入って強気な投資家が減る一方で弱気な投資家が増えている。
【図表2】 強気型ETFと弱気型ETFの日次推計資金流出入
 
2 概ね日経平均株価の2倍動くETF
3 概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETF

さいごに

足元、日経平均株価は21,700円台で堅調に推移しているが、インデックス・ファンドやETFの資金動向からは、これから22,000円を目指すと予想する投資家よりも再び下落することを懸念している投資家が多いことが明らかとなった。
 
 

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
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金融研究部   主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・投資信託・資産運用全般

経歴
  • 【職歴】
    2008年 大和総研入社
    2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
    2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
    2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
    2022年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)

(2019年04月09日「研究員の眼」)

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【当面、日経平均2万1,500円を意識か~インデックス・ファンド、ブルベアETFの資金動向~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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