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- 株価の見通しに自信が持てない国内投資家~日本株式に強気にも弱気にもなれず~
コラム
2019年03月08日
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日本株式の上値は重く
日本株式は上値の重い展開が続いている。2月に外部環境の好転期待などから日経平均株価が21,000円台を回復した。3月上旬には一時22,000円にせまったものの、実際に超えることができず21,000円台で推移している。米国株式と比べてみても、日本株式の弱さが目立つ。米国株式では、NYダウが26,000ドル台を維持することはできず直ぐに調整したが、2月下旬に3カ月半ぶりに26,000ドル台を回復している。日本株式は、日経平均株価が昨秋の24,000円はおろか22,000円すら回復できない状況である。やはり今後の企業業績の不透明感などが日本株式の重しとなっていると考えている1。
このような市場環境の中、投資家がどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。
1 詳しくは「企業業績の不透明感が日本株式の重しに」
このような市場環境の中、投資家がどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。
1 詳しくは「企業業績の不透明感が日本株式の重しに」
インデックス・ファンドは様子見
まず、2月以降のインデックス・ファンド2の資金動向をみていく。元々、インデックス・ファンドの資金動向には逆張り投資の傾向がみられる。インデックス・ファンドの利便性が高まったこともあり、タイミング投資にインデックス・ファンドが用いられることがあるためである。
2月以降の日次の推計資金流出入をみると、逆張り投資の傾向があったことが分かる。日経平均株価が21,000円を回復した2月中旬以降は資金流出傾向が続いていた【図表1】。ただ、資金流出は最大でも14日の70億円程度と小規模であった。
インデックス・ファンドの資金動向からは、2月以降、株価は堅調に推移していたが、積極的に売買している様子はみられなかったといえよう。様子見をしている投資家が多かったことが示唆される。
2月以降の日次の推計資金流出入をみると、逆張り投資の傾向があったことが分かる。日経平均株価が21,000円を回復した2月中旬以降は資金流出傾向が続いていた【図表1】。ただ、資金流出は最大でも14日の70億円程度と小規模であった。
インデックス・ファンドの資金動向からは、2月以降、株価は堅調に推移していたが、積極的に売買している様子はみられなかったといえよう。様子見をしている投資家が多かったことが示唆される。
2 日本籍追加型株式投信でTOPIXや日経平均株価などの日本株式の指数に連動した運用をしているもの。ただし、ETF、SMA専用、DC専用は除外。
さじを投げた短期投資家も
次に、主に短期投資に用いられる株価が上がると大きく値上がりする強気型ETF、株価が下がると大きく値上がりする弱気型ETFの資金動向をみる。代表的な強気型ETFである「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」と代表的な弱気型ETFである「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」の日次の推計資金流出入をみたものが【図表2】である。
なお、「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」は概ね日経平均株価の2倍動く、「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」は概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETFである。
なお、「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」は概ね日経平均株価の2倍動く、「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」は概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETFである。
強気型ETFに資金流入(黄色の棒グラフがプラス)があると日本株式の先行きに対して強気な投資家が増えていること意味する。その一方で弱気型ETFに資金流入(青色の棒グラフがプラス)があると弱気な投資家が増えていることを意味する。
2月以降の推計資金流出入をみると、弱気型ETFには資金流入が、逆に強気型ETFには資金流出傾向があった。特に2月の中旬には弱気型ETFに大規模な資金流入があった。つまり、2月は株価が上昇するにつれて、更なる上昇を期待する強気な投資家が減る一方で株価下落を見込む弱気な投資家が増えていたことが分かる。
ただ、3月5日と6日は強気型ETFだけでなく、弱気型ETFも大規模な資金流出があった。保有している弱気型ETFは含み損を抱えているにもかかわらず、手仕舞いをして投資することをやめてしまった投資家もいたようだ。
2月以降の推計資金流出入をみると、弱気型ETFには資金流入が、逆に強気型ETFには資金流出傾向があった。特に2月の中旬には弱気型ETFに大規模な資金流入があった。つまり、2月は株価が上昇するにつれて、更なる上昇を期待する強気な投資家が減る一方で株価下落を見込む弱気な投資家が増えていたことが分かる。
ただ、3月5日と6日は強気型ETFだけでなく、弱気型ETFも大規模な資金流出があった。保有している弱気型ETFは含み損を抱えているにもかかわらず、手仕舞いをして投資することをやめてしまった投資家もいたようだ。
さいごに
インデックス・ファンドでは様子見姿勢が強く、ETFでは強気型ETF、弱気型ETF共に資金流出している日もあり、投資すること自体をやめてしまう動きがみられた。インデックス・ファンドやETFの資金動向からは、株価の見通しに自信が持てない投資家が増えていることが示唆されるのではないだろうか。
ETFの資金動向の傾向をつかむには問題ないと考えているが、全て終値(基準価格)で取引されたものと仮定しているため、場中取引があるETFはインデックス・ファンドの場合と比べて、推計精度が低いと思われる。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2019年03月08日「研究員の眼」)

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
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