- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- はじめての不動産投資入門(3)~直接還元法について学ぼう~
コラム
2019年03月29日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
前回の『はじめての不動産投資入門(2)』1では、不動産の価格を求める3つの手法について述べました(図表1)。
今回は、このうち収益還元法の一つである(3-a)「直接還元法」について学習していきましょう。収益還元法は、収益性の観点(どれだけの利益が得られるか)から、「対象不動産から将来得られる純収益の現在価値の合計」によって収益価格を求める手法であり、「直接還元法」は、不動産鑑定評価では以下の式で定義されています2。
P=a÷R
(P:対象不動産の収益価格、a:一期間の純収益、R:還元利回り)
次に、「還元利回り」は、一般にキャップレート(CAPレート、Capitalization Rate)とも呼ばれ、不動産鑑定評価では、「一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率」と定義されています。「還元利回り」は、様々な要因(市場環境、立地エリアの発展や衰退、対象不動産の特性や管理状態、その他の固有リスク)を総合的に勘案して決定します。例えば「対象不動産のリスク」が低ければ「還元利回り」は低下し、反対に「対象不動産のリスク」が高ければ「還元利回り」は上昇することになります。
図表3は「還元利回り」と不動産の「収益価格」の関係を示しています。年間100万円の「純収益」を生み出す不動産について、「還元利回り」を5%とした場合、「収益価格」は2,000万円となります。ここで、「還元利回り」が4%に低下すると「収益価格」は2,500万円(+500万円)、「還元利回り」が6%に上昇すると「収益価格」は1,667万円(▲333万円)となります。つまり、「還元利回り」が低下すると「収益価格」は上昇し、「還元利回り」が上昇すると「収益価格」が低下する、という関係にあります。
図表3は「還元利回り」と不動産の「収益価格」の関係を示しています。年間100万円の「純収益」を生み出す不動産について、「還元利回り」を5%とした場合、「収益価格」は2,000万円となります。ここで、「還元利回り」が4%に低下すると「収益価格」は2,500万円(+500万円)、「還元利回り」が6%に上昇すると「収益価格」は1,667万円(▲333万円)となります。つまり、「還元利回り」が低下すると「収益価格」は上昇し、「還元利回り」が上昇すると「収益価格」が低下する、という関係にあります。
直接還元法は、賃貸用不動産の取得・売却の検討、保有期間中の評価額の確認など、実際のビジネスの中でよく使われている手法です。不動産投資を始めるにあたり、図表2や図表3で示したことについて繰り返し確認して頂ければと思います。
それでは、次回以降、今回学習した直接還元法を用いて、実際に不動産の収益価格を求めてみたいと思います。
1 渡邊布味子『はじめての不動産投資入門(2)~不動産の価格を求める手法について~』ニッセイ基礎研究所、研究員の眼、2018年11月30日
2 国土交通省『不動産鑑定評価基準』 http://www.mlit.go.jp/common/001204083.pdf
それでは、次回以降、今回学習した直接還元法を用いて、実際に不動産の収益価格を求めてみたいと思います。
1 渡邊布味子『はじめての不動産投資入門(2)~不動産の価格を求める手法について~』ニッセイ基礎研究所、研究員の眼、2018年11月30日
2 国土交通省『不動産鑑定評価基準』 http://www.mlit.go.jp/common/001204083.pdf
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年03月29日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1853
経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
渡邊 布味子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/26 | 不動産投資市場動向(2024年)~グローバルプレゼンスが向上する日本市場。2024年の取引額は世界金融危機後の最高額に | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
2024/12/19 | 首都圏中古マンション市場動向(2024年11月)~「成約件数横ばい・成約価格横ばい」の局面に移行。東京では新規登録価格と成約価格の逆転も | 渡邊 布味子 | 基礎研レター |
2024/10/31 | 首都圏新築マンション市場の動向(2024年9月)~マンション発売戸数は今後も低水準にとどまる見通し | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
2024/09/11 | 不動産投資市場動向(2024年上半期)~外資の取得額が減少するも、全体では高水準を維持 | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
新着記事
-
2025年03月18日
中国で求められる、働きやすく、子育てしやすい社会の整備【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(68) -
2025年03月18日
グリーン車から考える日本の格差-より多くの人が快適さを享受できる社会へ- -
2025年03月18日
気候変動:アクチュアリースキルの活用-「プラネタリー・ソルベンシー」の枠組みに根差したリスク管理とは? -
2025年03月18日
長期投資の対象、何が良いのか-S&P500、ナスダック100、先進国株式型で良かった -
2025年03月18日
EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【はじめての不動産投資入門(3)~直接還元法について学ぼう~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
はじめての不動産投資入門(3)~直接還元法について学ぼう~のレポート Topへ