コラム
2018年11月30日

はじめての不動産投資入門(2)~不動産の価格を求める手法について~

金融研究部 准主任研究員   渡邊 布味子

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前回の『はじめての不動産投資入門(1)』では、個人投資家が不動産投資をする際に大切にしたい心得として『不動産投資の心得5か条』を、まとめました1
不動産投資の心得 5か条
今回は、「1. 物件の売却価格を考えよう」を説明する前段階として、不動産価格を計算する手法について整理したいと思います。不動産の価格を求める手法には「原価法」、「取引事例比較法」、「収益還元法」の3つ2があります。また、収益還元法は、「直接還元法」と「DCF法3」に分けられます。

それぞれの計算手法には特性があり、計算によって得られた不動産価格4は説得力が異なりますので、価格を求めたい不動産の種類や用途などによって使い分ける必要があります。それぞれの手法の特徴を表にまとめると以下のとおりです。
不動産の価格を求める手法
まず、(1)「原価法」は、費用性を強く反映します。費用性とは、その不動産を取得するためにかかる費用はいくらなのか、という視点です。土地の取得費、建物の骨組みの費用、内装費、施工に必要な労務費などを積み上げて合計し、そこから経年劣化や、旧式設備による競争力の低下などを減価する方法により求めます。得られた価格は費用を積み上げたものなので「積算価格」といいます。建物を新築する場合や、自分で利用する建物の価格を求める場合などに強い説得力を持ちます。
 
次に、(2)「取引事例比較法」は、市場性を強く反映します。市場性とは、その不動産を今売却したらいくらになるか、という視点です。「価格を求める不動産」と、「類似する不動産が実際に売買された価格」とを比較して価格を求めます。価格を比べて得たものなので「比準価格」といいます。マンション、分譲住宅など同じような不動産がたくさん売買されている場合に強い説得力を持ちます。
 
そして、(3)「収益還元法」は、収益性を強く反映します。収益性とは、その不動産からどれだけの利益が得られるか、という視点です。「不動産から将来得られる純収益5の現在価値の合計」によって求めます。得られた価格は将来の収益に基づいたものなので「収益価格」といいます。収益還元法は(1)「原価法」、(2)「取引事例比較法」と大きく異なる点があります。それは「将来を予測する」ということです。収益還元法のうち、(3-a)「直接還元法」は1年間の純収益を予測し、1年目以降のリスクやリターンを反映したキャップレート6で割って不動産価格を求めます。また(3-b)「DCF法」は10年程度の保有期間の純収益の現在価値と、期間満了後の売却価格などの現在価値を合計して価格を求めます。

では、上記の3つの計算手法のうち、投資用の不動産と最も相性が良いのはどれでしょうか。もうおわかりですね。答えは収益性を強く反映する「収益還元法」です。なかでも、「直接還元法」は理解が容易で比較的簡単に計算できるため、投資用不動産の価格を検討する前に、まず学んでおきたい手法です。次回は、その「直接還元法」の基本的な考え方について述べたいと思います。
 
1 渡邊 布味子『はじめての不動産投資入門(1)~不動産投資の心得 5か条~』ニッセイ基礎研究所、研究員の眼、2018年7月31日
2 鑑定評価では、「一般に人が物の価値を判定するには、『費用性』、『市場性』、『収益性』の『価格の三面性』を考慮する」と考えます。
3 Discount Cash Flow法の略です。
4 鑑定評価では、適用できる手法を全て適用して得られた複数の「試算価格」のバランスを考えて按分し、最終的な「価格」を決めます。一方、実際の売買取引においては一つの手法で価格を求めることも多くあります。
5 賃料などの収益から管理費・固定資産税などの費用を引いて求めます。
6 Cap RateまたはCR。 Capitalization Rateの略で、還元利回りともいいます。
 
 

(ご注意)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
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金融研究部   准主任研究員

渡邊 布味子 (わたなべ ふみこ)

研究・専門分野
不動産市場、不動産投資

(2018年11月30日「研究員の眼」)

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