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- 【10-12月期米GDP】前期比年率+2.6%、個人消費、在庫投資の伸びが鈍化
2019年03月01日
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1.結果の概要:成長率は、前期から低下も市場予想を上回る
10-12月期の成長率を需要項目別にみると、設備投資が前期比年率+6.2%(前期:+2.5%)と前期から伸びが加速したほか、外需の成長率寄与度が▲0.22%ポイント(前期:▲1.99%ポイント)とマイナス幅が縮小した。
一方、住宅投資は前期比年率▲3.5%(前期:▲3.6%)と4期連続でマイナス成長となった。また、前期に成長率を大幅に押上げた在庫投資は成長率寄与度が+0.13%ポイント(前期:+2.33%ポイント)と、前期に続き成長押上げとなったものの、押上げ幅は大幅に縮小した。
さらに、政府支出が前期比年率+0.4%(前期:+2.6%)と前期から伸びが鈍化したほか、個人消費も+2.8%(前期:+3.5%)と、好調を維持したものの前期から伸びが鈍化した。
当期は前2四半期が高成長率となっていたほか、12月の小売売上高が予想外に減少したことを受けて、個人消費の伸び鈍化が見込まれていたことから、成長率の低下が予想されていた。一方、成長率が市場予想を上回った要因としては、在庫投資が前期の反動にも係わらず、小幅ながら成長率のプラス寄与となったことに加えて、設備投資が堅調な伸びとなったことが大きいとみられる。
1 政府閉鎖の影響で速報値と改定値のデータと推計方法の組み合わせにより推計
2 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
一方、住宅投資は前期比年率▲3.5%(前期:▲3.6%)と4期連続でマイナス成長となった。また、前期に成長率を大幅に押上げた在庫投資は成長率寄与度が+0.13%ポイント(前期:+2.33%ポイント)と、前期に続き成長押上げとなったものの、押上げ幅は大幅に縮小した。
さらに、政府支出が前期比年率+0.4%(前期:+2.6%)と前期から伸びが鈍化したほか、個人消費も+2.8%(前期:+3.5%)と、好調を維持したものの前期から伸びが鈍化した。
当期は前2四半期が高成長率となっていたほか、12月の小売売上高が予想外に減少したことを受けて、個人消費の伸び鈍化が見込まれていたことから、成長率の低下が予想されていた。一方、成長率が市場予想を上回った要因としては、在庫投資が前期の反動にも係わらず、小幅ながら成長率のプラス寄与となったことに加えて、設備投資が堅調な伸びとなったことが大きいとみられる。
1 政府閉鎖の影響で速報値と改定値のデータと推計方法の組み合わせにより推計
2 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
2.結果の詳細:
(個人消費・個人所得)耐久財は好調も、全般的に消費の伸びは鈍化
10-12月期の個人消費は、財消費が前期比年率+3.9%(前期:+4.3%)、サービス消費が+2.4%(前期:+3.2%)と、いずれも前期から伸びが鈍化した(図表3)。財消費では、娯楽財・スポーツカーが+7.8%(前期:+8.9%)と前期から高い伸びを維持したほか、自動車・自動車部品が+9.1%(前期:▲1.8%)と前期から大幅な増加に転じたこともあって、耐久財全体では+5.9%(前期:+3.7%)と前期から伸びが加速した。
一方、ガソリン・エネルギーが+1.8%(前期:▲3.4%)と前期から増加に転じたものの、衣料・靴+3.2%(前期:+11.0%)や、食料・飲料+1.3%(前期:+3.4%)などで伸びが鈍化したことから、非耐久財全体では+2.8%(前期:+4.6%)と前期から伸びが鈍化した。
最後にサービス消費は、住宅・公共料金が+1.7%(前期:+1.0%)と前期から小幅ながら伸びが加速したほか、娯楽サービスも+2.1%(前期:▲1.3%)と前期から増加に転じた。しかしながら、医療サービスが+3.3%(前期:+4.7%)と前期から伸びが鈍化したほか、飲食・宿泊が▲3.9%(前期+7.1%)と減少に転じてサービス消費を押下げた。
一方、実質可処分所得は前期比年率+4.2%(前期:+2.6%)と、前期から伸びが加速した(図表4)。また、貯蓄率は6.7%(前期:6.4%)と3期ぶりに上昇に転じた。
10-12月期の個人消費は、財消費が前期比年率+3.9%(前期:+4.3%)、サービス消費が+2.4%(前期:+3.2%)と、いずれも前期から伸びが鈍化した(図表3)。財消費では、娯楽財・スポーツカーが+7.8%(前期:+8.9%)と前期から高い伸びを維持したほか、自動車・自動車部品が+9.1%(前期:▲1.8%)と前期から大幅な増加に転じたこともあって、耐久財全体では+5.9%(前期:+3.7%)と前期から伸びが加速した。
一方、ガソリン・エネルギーが+1.8%(前期:▲3.4%)と前期から増加に転じたものの、衣料・靴+3.2%(前期:+11.0%)や、食料・飲料+1.3%(前期:+3.4%)などで伸びが鈍化したことから、非耐久財全体では+2.8%(前期:+4.6%)と前期から伸びが鈍化した。
最後にサービス消費は、住宅・公共料金が+1.7%(前期:+1.0%)と前期から小幅ながら伸びが加速したほか、娯楽サービスも+2.1%(前期:▲1.3%)と前期から増加に転じた。しかしながら、医療サービスが+3.3%(前期:+4.7%)と前期から伸びが鈍化したほか、飲食・宿泊が▲3.9%(前期+7.1%)と減少に転じてサービス消費を押下げた。
一方、実質可処分所得は前期比年率+4.2%(前期:+2.6%)と、前期から伸びが加速した(図表4)。また、貯蓄率は6.7%(前期:6.4%)と3期ぶりに上昇に転じた。
(民間投資)建設投資の回復遅れも、知的財産投資が2桁の増加
10-12月期の民間設備投資は、建設投資こそ前期比年率▲4.2%(前期:▲3.4%)と2期連続のマイナス成長となったものの、設備機器投資が+6.7%(前期:+3.4%)と前期から伸びが加速したほか、知的財産投資が+13.1%(前期:+5.6%)と2桁の伸びに加速し、全体を押上げた(図表5)。
10-12月期の民間設備投資は、建設投資こそ前期比年率▲4.2%(前期:▲3.4%)と2期連続のマイナス成長となったものの、設備機器投資が+6.7%(前期:+3.4%)と前期から伸びが加速したほか、知的財産投資が+13.1%(前期:+5.6%)と2桁の伸びに加速し、全体を押上げた(図表5)。

設備機器投資では、情報処理関連が▲2.0%(前期:+7.2%)と前期からマイナスに転じたものの、輸送機器が+17.0%(前期:▲3.6%)と前期から2桁の伸びに転じ全体を押上げた。
知的財産投資では、ソフトウエアが+14.5%(前期:+9.1%)、研究・開発も+13.5%(前期:+3.1%)と2桁の伸びとなった。
最後に住宅投資は、集合住宅が前期比年率+26.2%(前期▲8.7%)と4期ぶりに増加に転じたものの、戸建てが▲14.1%(前期:▲5.5%)と2桁の落ち込みとなった。
輸出を仔細にみると、サービス輸出が前期比年率+1.4%(前期:+2.4%)と前期から伸びが鈍化する一方、財輸出が+1.6%(前期:▲8.4%)と前期から増加に転じて全体を押上げた(図表7)。財輸出では、食料・飲料が▲47.9%(前期:▲19.5%)と2期連続の大幅なマイナスとなったほか、自動車関連も▲13.2%(前期:▲14.1%)と3期連続で大幅なマイナスとなった。一方、石油関連が+41.4%(前期:▲5.8%)と大幅な増加に転じたことから、工業用原料が+13.1%(前期:▲4.8%)と前期から増加に転じたほか、民間航空機・部品等が+37.8%(前期:▲11.9%)と大幅な増加となったことから、資本財(自動車関連除く)も+5.5%(前期:▲4.1%)と前期から増加に転じた。
輸入は、サービス輸入が前期比年率+7.5%(前期+4.3%)と前期から伸びが加速したものの、財輸入が+1.6%(前期:+10.5%)と大幅に鈍化した(図表8)。財輸入では自動車関連が+11.6%(前期:+17.7%)、消費財(自動車関連除く)も+13.3%(前期:+12.0)と前期に続き2桁の伸びを維持した。一方、石油関連が▲20.6%(前期:+6.9%)と大幅な減少に転じた。また、コンピュータ関連が▲25.8%(前期:+6.2%)と大幅に落込んだことから、資本財(自動車関連除き)も▲2.8%(前期:+6.7%)とマイナスに転じた。
輸入は、サービス輸入が前期比年率+7.5%(前期+4.3%)と前期から伸びが加速したものの、財輸入が+1.6%(前期:+10.5%)と大幅に鈍化した(図表8)。財輸入では自動車関連が+11.6%(前期:+17.7%)、消費財(自動車関連除く)も+13.3%(前期:+12.0)と前期に続き2桁の伸びを維持した。一方、石油関連が▲20.6%(前期:+6.9%)と大幅な減少に転じた。また、コンピュータ関連が▲25.8%(前期:+6.2%)と大幅に落込んだことから、資本財(自動車関連除き)も▲2.8%(前期:+6.7%)とマイナスに転じた。
一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数3は、前期比年率+1.5%、前年同期比+1.9%(前期:+1.6%、+2.2%)と前期比、前年同期比ともに前期から伸びが鈍化し、前年同期比はFRBの物価目標(2%)を下回った(図表10)。また、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前期比年率+1.7%、前年同期比+1.9%(前期:+1.6%、+2.0%)と、こちらも前期比および前年同期比で伸びが鈍化し、総合指数同様物価目標を下回った。このため、物価上昇圧力は足元で幾分後退していることが確認された。
3 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
3 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年03月01日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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