- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 深刻化する労働力不足-労働供給制約が景気回復に水を差す可能性
2019年02月15日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- 米国では10年以降、労働市場の回復が持続している。労働市場の代表的な指標(雇用ヘッドライン)は、非農業部門雇用者数が統計開始以来最長の雇用増加期間となっているほか、失業率が一時およそ50年ぶりの水準に低下しており、労働市場の「量」の改善を示している。
- また、イエレン前FRB議長が労働市場の「質」を判断する上で重視した指標も軒並み大幅な改善を示しており、労働市場は「質」の改善を伴いこれまで経験したことのない回復の可能性を示唆している。
- 一方、回復の長期化に伴い、労働力不足が深刻化している。製造業や建設業の熟練労働力の不足に加え、中小企業でも人材の確保が困難となっており、労働力不足の業種や技能レベルの範囲が広がっているとみられる。
- 企業の採用意欲は依然として強いものの、高齢化の影響もあって労働力人口の増加余地が限定的となってきており、今後は雇用増加ベースの鈍化が不可避である。
- 米景気拡大期間は史上最長の更新が視野に入ってきたものの、財政や金融政策の景気刺激効果の剥落に加え、労働供給制約が景気回復に水を差す可能性がでてきたと言えよう。
■目次
1.はじめに
2.労働市場はこれまで経験したことのない回復を示唆
(雇用ヘッドライン)
:雇用者数は統計開始以来最長の増加、失業率はおよそ50年ぶりの低水準
(広義・長期の失業率):金融危機前を下回る水準に低下
(求人統計):求人数が統計開始以来はじめて失業者数を上回る
(新規失業保険申請件数):統計開始以来最長となる206週に亘り30万件を下回る
(労働参加率、賃金):労働需給の逼迫を反映し、賃金上昇率が加速
3.労働力不足が深刻化
(製造業・建設業、中小企業):労働力不足の裾野が拡大
4.今後の見通し
(企業の採用計画):依然として採用意欲は強い
(労働力増加余地):高齢化の影響もあり、労働力人口の増加余地が狭まっている
(雇用増加見込み):20年以降、雇用の伸びは大幅に鈍化する見込み
(米経済への影響):労働供給制約が景気回復に水を差す可能性
1.はじめに
2.労働市場はこれまで経験したことのない回復を示唆
(雇用ヘッドライン)
:雇用者数は統計開始以来最長の増加、失業率はおよそ50年ぶりの低水準
(広義・長期の失業率):金融危機前を下回る水準に低下
(求人統計):求人数が統計開始以来はじめて失業者数を上回る
(新規失業保険申請件数):統計開始以来最長となる206週に亘り30万件を下回る
(労働参加率、賃金):労働需給の逼迫を反映し、賃金上昇率が加速
3.労働力不足が深刻化
(製造業・建設業、中小企業):労働力不足の裾野が拡大
4.今後の見通し
(企業の採用計画):依然として採用意欲は強い
(労働力増加余地):高齢化の影響もあり、労働力人口の増加余地が狭まっている
(雇用増加見込み):20年以降、雇用の伸びは大幅に鈍化する見込み
(米経済への影響):労働供給制約が景気回復に水を差す可能性
(2019年02月15日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1824
経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/21 | 米FOMC(25年3月)-市場予想通り、政策金利を2会合連続で据え置き。4月から量的引締めのペースを緩和 | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/19 | 米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/10 | 米国経済の見通し-25年初から関税政策をはじめ、経済政策は混沌の極み。景気後退回避を予想もリスクは上昇 | 窪谷 浩 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/10 | 米雇用統計(25年2月)-非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったほか、失業率は横這い予想に反して上昇 | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【深刻化する労働力不足-労働供給制約が景気回復に水を差す可能性】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
深刻化する労働力不足-労働供給制約が景気回復に水を差す可能性のレポート Topへ