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- 中国経済:景気指標の総点検(2018年秋季号)~「景気悪化」のサインが継続
2018年09月28日
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1.供給面の景気3指標
1 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、ニッセイ基礎研究所で中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
【製造業PMI】
次に、製造業PMI(製造業購買担当者景気指数、中国国家統計局)の動きを確認すると、7月は51.2%、8月は51.3%と拡張・収縮の分岐点となる50%を25ヵ月連続で上回ったものの、4-6月期の平均(51.6%)を小幅に下回る水準で推移している。但し、将来3ヵ月の見通しを示す予想指数は50%台後半を維持しており、製造業の景気が失速する恐れは今のところ小さい(図表-3)。
次に、製造業PMI(製造業購買担当者景気指数、中国国家統計局)の動きを確認すると、7月は51.2%、8月は51.3%と拡張・収縮の分岐点となる50%を25ヵ月連続で上回ったものの、4-6月期の平均(51.6%)を小幅に下回る水準で推移している。但し、将来3ヵ月の見通しを示す予想指数は50%台後半を維持しており、製造業の景気が失速する恐れは今のところ小さい(図表-3)。
2.需要面の景気3指標
【小売売上高】
個人消費の代表指標である小売売上高の動きを見ると、7-8月期は前年比9.0%増(推定)で4-6月期の同9.0%増(推定)と同水準で推移している(図表-5)。但し、価格要因を除いた実質で見ると、商品販売価格指数が上昇率を高めたことを背景に7月は同6.5%増、8月は同6.6%増と4-6月期の同7.2%増(推定)を下回る伸びに留まった。なお、ネット販売(商品とサービス)は同22.5%増(推定)とBAT(百度、阿里巴巴、騰訊)などIT企業が牽引して依然として好調を維持しているが、4-6月期の同24.8%増(推定)と比べるとやや鈍化、これまでの爆発的な伸びにはわずかな陰りも見られる。但し、消費者信頼感指数が引き続き高い水準を維持していることから、大きく落ち込むとは当面考え難いだろう(図表-6)。
個人消費の代表指標である小売売上高の動きを見ると、7-8月期は前年比9.0%増(推定)で4-6月期の同9.0%増(推定)と同水準で推移している(図表-5)。但し、価格要因を除いた実質で見ると、商品販売価格指数が上昇率を高めたことを背景に7月は同6.5%増、8月は同6.6%増と4-6月期の同7.2%増(推定)を下回る伸びに留まった。なお、ネット販売(商品とサービス)は同22.5%増(推定)とBAT(百度、阿里巴巴、騰訊)などIT企業が牽引して依然として好調を維持しているが、4-6月期の同24.8%増(推定)と比べるとやや鈍化、これまでの爆発的な伸びにはわずかな陰りも見られる。但し、消費者信頼感指数が引き続き高い水準を維持していることから、大きく落ち込むとは当面考え難いだろう(図表-6)。
【固定資産投資】
投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)の動きを見ると、1-8月期は前年比5.3%増と1-6月期の同6.0%増を下回った。中国国家統計局の公表データを元に7-8月期の伸びを推計すると同3.3%増(推定)となり、大きく減速したことが分かる(図表-7)。内訳を見ると、不動産開発投資は同11.3%増(推定)と4-6月期の同9.0%増(推定)から加速し、製造業は同9.5%増(推定)と小幅な減速に留まったものの、インフラ投資が同4.9%減(推定)と前年割れになった(図表-8)。インフラ投資の落ち込みは中国政府(含む中国人民銀行)によるマクロプルーデンス管理強化の影響と見られる。なお、製造業の投資は、米中貿易摩擦の激化で不透明感が増した割には高水準を維持しており、今のところ目立った悪化とはなっていない。
投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)の動きを見ると、1-8月期は前年比5.3%増と1-6月期の同6.0%増を下回った。中国国家統計局の公表データを元に7-8月期の伸びを推計すると同3.3%増(推定)となり、大きく減速したことが分かる(図表-7)。内訳を見ると、不動産開発投資は同11.3%増(推定)と4-6月期の同9.0%増(推定)から加速し、製造業は同9.5%増(推定)と小幅な減速に留まったものの、インフラ投資が同4.9%減(推定)と前年割れになった(図表-8)。インフラ投資の落ち込みは中国政府(含む中国人民銀行)によるマクロプルーデンス管理強化の影響と見られる。なお、製造業の投資は、米中貿易摩擦の激化で不透明感が増した割には高水準を維持しており、今のところ目立った悪化とはなっていない。
(2018年09月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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