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- 売るに売れなかった?トルコ関連ファンド~2018年8月の投信動向~
コラム
2018年09月06日
外国株式への資金流入が拡大
その他、8月人気だったファンドをみると、「ブル3倍日本株ポートフォリオⅤ」に300億円を超える資金流入があった【図表2:青太字】。同ファンドの日次の資金動向をみると、日経平均株価が22,000円割れするなど株価が急落した13日に140億円、翌日の14日に50億円と、この2日間に集中して資金流入があった。
「ブル3倍日本株ポートフォリオⅤ」と同様の傾向が国内株式のインデックス・ファンドにもみられ、国内株式のインデックス・ファンドは7月の資金流出から一転して8月は資金流入となった。ただ、大型株アクティブ・ファンドと中小型株アクティブ・ファンドへの資金流入が7月より鈍化したため、国内株式全体でみても8月は7月と比べ資金流入がやや鈍化した。
「ブル3倍日本株ポートフォリオⅤ」と同様の傾向が国内株式のインデックス・ファンドにもみられ、国内株式のインデックス・ファンドは7月の資金流出から一転して8月は資金流入となった。ただ、大型株アクティブ・ファンドと中小型株アクティブ・ファンドへの資金流入が7月より鈍化したため、国内株式全体でみても8月は7月と比べ資金流入がやや鈍化した。
米国株式ファンドが好調な影で暴落したトルコ関連ファンド
8月にパフォーマンスが良好であったファンドをみると、米国中小型株ファンド(6本:赤太字)と外国株式のテクノロジー系のテーマ株ファンド(4本:青太字)が好調であった【図表3】。好調だった外国株式のテーマ株ファンドについても、月次レポートによると米国株式の組入れ比率がどれも8割程度であり、大半が米国ハイテク株であった。8月は下旬にS&P500種株価指数やナスダック総合指数が連日、過去最高値を更新するなど米国株式が上昇した。そんな米国株式の中でもハイテク株と中小型株の上昇が特に大きかったため、それらに傾斜したファンドが好調であった。ハイテク株と中小型株については個別の要因もあるが、米通商問題や米利上げの悪影響が懸念されていたため、それらの悪影響がハイテク株や中小型株は相対的に小さいと考えられていることも背景にあるだろう。
8月は米国株式ファンドが好調であった一方で、トルコ関連ファンドの下落が激しかった。トルコ関連ファンドは3タイプ、トルコ・リラの通貨選択型ファンド(実質的にトルコ・リラ投資を行っているファンド)、トルコ債券ファンド、トルコ株式ファンドがある。残高は8月末時点で通貨選択型が1,800億円、トルコ債券が100億円、トルコ株式が60億円と、通貨選択型が最も大きくなっている。
3タイプごとにパフォーマンスを集計すると、8月はトルコ・リラが対円で28%も下落したこともあり、3タイプとも多くのファンドの下落幅が25%を超えた【図表4:左】。特に、トルコ債券ファンドの下落が大きく、下落幅が40%に迫るファンドもあった。8月は新興国債券、新興国株式ともに軟調であったが、インデックス・ファンドでみると下落幅は10%以内(新興国債券が▲7%、新興国株式が▲3%)に収まっている。いかにトルコ関連ファンドの下落が大きかったかが分かる。
3タイプごとにパフォーマンスを集計すると、8月はトルコ・リラが対円で28%も下落したこともあり、3タイプとも多くのファンドの下落幅が25%を超えた【図表4:左】。特に、トルコ債券ファンドの下落が大きく、下落幅が40%に迫るファンドもあった。8月は新興国債券、新興国株式ともに軟調であったが、インデックス・ファンドでみると下落幅は10%以内(新興国債券が▲7%、新興国株式が▲3%)に収まっている。いかにトルコ関連ファンドの下落が大きかったかが分かる。
トルコ関連ファンドの資金動向をみると、通貨選択型を中心に8月は資金流出していた【図表5:左】。ただ3月以降、資金流出が続いていており、8月の流出金額が突出して大きいことはなかった。急落を受けて、投売りをする投資家は少なかったようだ。日次の推移をみても、トルコ・リラが急落した13日前後で明確な傾向の変化がみられなかった【図表5:右】。10日の米国とトルコの関係悪化を受けて13日にトルコ・リラが20%も下落するなど、急激な投資環境の変化であった。13日の急落を避けるには、遅くても事態が急変する前の9日に注文を出す必要があった。そのため、気がついたときには時既に遅しとなってしまい、身動きが取れなかった投資家が多かったのかもしれない。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2018年09月06日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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