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- 【5月米個人所得・消費支出】消費支出(前月比)は+0.2%。前月から伸びが鈍化し、市場予想(+0.4%)も下回る
2018年07月02日
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1.結果の概要:名目個人所得は市場予想に一致、個人消支出は市場予想を下回る
6月29日、米商務省の経済分析局(BEA)は5月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.4%(前月改定値:+0.2%)となり、+0.3%から下方修正された前月を上回り、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%に一致した。個人消費支出(名目値)は前月比+0.2%(前月改定値:+0.5%)と、こちらは+0.6%から下方修正された前月、市場予想(+0.4%)を下回った(図表1)。価格変動の影響を除いた実質個人消費支出も前月比横這い(前月改定値:+0.3%)と、こちらも+0.4%から下方修正された前月、市場予想(+0.2%)を下回った(図表5)。貯蓄率1は3.2%(前月:3.0%)と前月から上昇した。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.2%)と前月、市場予想(+0.2%)に一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数も、前月比+0.2%(前月値:+0.2%)と、前月、市場予想(+0.2%)に一致した(図表6)。前年同月比では、総合指数が+2.3%(前月値:+2.0%)と、前月から加速、市場予想(+2.2%)も上回った。コア指数も+2.0%(前月値:+1.8%)と、こちらも前月値、市場予想(+1.9%)を上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.2%)と前月、市場予想(+0.2%)に一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数も、前月比+0.2%(前月値:+0.2%)と、前月、市場予想(+0.2%)に一致した(図表6)。前年同月比では、総合指数が+2.3%(前月値:+2.0%)と、前月から加速、市場予想(+2.2%)も上回った。コア指数も+2.0%(前月値:+1.8%)と、こちらも前月値、市場予想(+1.9%)を上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:3ヵ月ぶりに消費の伸びが大幅に鈍化

一方、所得対比でも3ヵ月ぶりに消費の伸びが所得の伸びを下回った。この結果、貯蓄率は3ヵ月ぶりに反転した。
5月の個人消費は伸びが鈍化したものの、その前が2ヵ月連続で所得を上回る伸びとなっていたことから、伸びが鈍化することに違和感はない。一方、労働市場の回復持続、減税などに伴い可処分所得の伸びが続いているほか、消費者センチメントは依然として高い水準を維持しているため、5月の消費は鈍化したものの、今後も個人消費は堅調に推移することが見込まれる。
一方、物価は総合指数(前年同月比)がFRBの目標水準(2%)を明確に上回ったほか、物価の基調を示すコア指数も、物価目標に一致するなど、インフレ加速が明確となってきた。6月のFOMC会合では物価や政策金利見通しが上方修正されたが、今回の物価指標は概ねFRBの見通しに沿った動きと言えよう。
3.所得動向:利息・配当の伸びが加速
個人所得の内訳をみると賃金・給与が前月比+0.3%(前月:+0.3%)と2ヵ月連続で底堅い伸びとなったほか、利息・配当収入が+0.7%(前月:横這い)と、前月から大幅に伸びが加速した(図表2)。一方、移転所得は+0.2%(前月:+0.5%)とこちらは前月から伸びが鈍化した。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は+0.4%(前月:+0.3%)と、前月から伸びが加速した(図表3)。税負担は▲0.2%(前月:▲0.4%)と2ヵ月連続で可処分所得を押上げたものの、前月から押上げ幅は低下した。一方、価格変動の影響を除いた実質ベースでは前月比+0.2%(前月:+0.1%)と、こちらも前月から伸びが加速した。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は+0.4%(前月:+0.3%)と、前月から伸びが加速した(図表3)。税負担は▲0.2%(前月:▲0.4%)と2ヵ月連続で可処分所得を押上げたものの、前月から押上げ幅は低下した。一方、価格変動の影響を除いた実質ベースでは前月比+0.2%(前月:+0.1%)と、こちらも前月から伸びが加速した。
4.消費動向:財消費は堅調もサービス消費が鈍化
名目個人消費(前月比)は、財消費が+0.4%(前月:+0.5%)と前月から小幅な鈍化に留まる一方、サービス消費が+0.1%(前月:+0.5%)と、大幅に鈍化した(図表4)。
財消費では、耐久財が+0.1%(前月:▲0.2%)と前月からプラスに転じた一方、非耐久財が+0.6%(前月:+0.9%)と高い伸びを維持したものの、前月からは伸びが鈍化した。
耐久財では、家具・家電が▲0.2%(前月:+1.3%)と前月からマイナスに転じたものの、自動車・自動車部品が▲0.2%(前月:▲2.3%)とマイナス幅を大幅に縮めたほか、娯楽財・スポーツカーが+0.3%(前月:+0.3%)と前月並みの伸びを維持した。
非耐久財では、衣料・靴が+0.9%(前月:+0.8%)と前月から小幅ながら伸びが加速する一方、ガソリン・エネルギーが+1.4%(前月:+3.8%)と、前月から大幅に伸びが鈍化した。
サービス消費では、外食・宿泊が+0.9%(前月:+0.1%)となったほか、金融・保険が+0.5%(前月:+0.3%)と前月から伸びが加速したものの、娯楽が▲0.6%(前月:+0.5%)、住宅・公共料金が▲0.5%(前月+1.1%)と前月からマイナスに転じた。
財消費では、耐久財が+0.1%(前月:▲0.2%)と前月からプラスに転じた一方、非耐久財が+0.6%(前月:+0.9%)と高い伸びを維持したものの、前月からは伸びが鈍化した。
耐久財では、家具・家電が▲0.2%(前月:+1.3%)と前月からマイナスに転じたものの、自動車・自動車部品が▲0.2%(前月:▲2.3%)とマイナス幅を大幅に縮めたほか、娯楽財・スポーツカーが+0.3%(前月:+0.3%)と前月並みの伸びを維持した。
非耐久財では、衣料・靴が+0.9%(前月:+0.8%)と前月から小幅ながら伸びが加速する一方、ガソリン・エネルギーが+1.4%(前月:+3.8%)と、前月から大幅に伸びが鈍化した。
サービス消費では、外食・宿泊が+0.9%(前月:+0.1%)となったほか、金融・保険が+0.5%(前月:+0.3%)と前月から伸びが加速したものの、娯楽が▲0.6%(前月:+0.5%)、住宅・公共料金が▲0.5%(前月+1.1%)と前月からマイナスに転じた。
5.価格指数:前年同月比でエネルギー価格は2桁の上昇
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(2018年07月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
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