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株価急変による関係先企業株価への影響-企業間ネットワーク構造を用いた分析

金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 高岡 和佳子
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マイナスのイベントの場合、収益を上げる事が可能かもしれないが、累積超過収益率の平均値は、関係先企業でも-1.05%、間接企業に至っては-0.33%しかない。売買コストを考慮すると、やはり収益獲得機会はないようにも思える。しかし、今回の分析は、超過収益率の大きさのみを用いて機械的に判断している。しかし、波及効果がイベントの内容を人的に判断することで、売買コストを支払っても、十分な収益獲得機会がある可能性がある。そこで、関係先企業及び間接企業の累積超過収益率を事例別に平均を取り、その分布を確認する(図表5)。なお、これまでの分析とは異なり、イベント発生日の2営業日後から翌15営業日間の超過収益率を用いた。これは、売買に値するイベントか否か吟味する時間を、1日分確保するためだ。
先ほどプラスのイベントの波及効果は小さく、また長く続かないと記したが、これは全体的な話であって、プラスのイベントであっても、個別の内容次第で波及効果が大きく継続する可能性は否定できない。
4――最後に
昨年の分析同様、特別損失の計上や増資等のイベントカテゴリー別に、波及効果を評価・分析する意味もある。しかし、例えば、業績見通しの下方修正といった同じカテゴリーの情報であっても、その前後のイベントや、業績見通しに対する楽観的か保守的かといった各企業の態度などによって、波及効果が異なると考えられる。仮に、企業間のネットワークに着目し、イベント発生企業との関係性が強い企業の株式を売買することで、収益を上げることを目指すならば、イベントカテゴリー別の波及効果の評価分析結果を待つよりも、大量なデータから機械的な抽出作業と、その抽出結果を利用した専門家による人的判断を組み合わせることが、現実的ではないだろうか。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年06月01日「基礎研レポート」)

03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
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