- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- マイナス金利政策による投資家の運用資産の保有割合の変化
マイナス金利政策による投資家の運用資産の保有割合の変化

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1――マイナス金利政策導入後の日銀当座預金残高の推移
政策金利残高は、2016年3月に約30兆円にまで達したが、2018年2月末時点で約23兆円となっている。その多くの割合を外国銀行(約1.6兆円)、信託銀行(約7.6兆円)、その他の準備預金制度適用先3(約11.8兆円)と準備預金制度非適用先4(約1.8兆円)が占めており、都市銀行や地方銀行の政策金利残高はほぼゼロで推移している。
1 マイナス金利政策において3つの階層が適用される金融機関(補完当座預金制度適用先)に関する合計値。
2 短期国債と長期国債の保有額に関する総和を示している。
3 その他の準備預金制度適用先には、ゆうちょ銀行や大手信用金庫が含まれる。
4 準備預金制度非適用先には、短資会社や証券会社が含まれる。
2――マイナス金利政策導入によって生じた短期金融市場の変化
先ほど、マイナス金利政策下においてマクロ加算残高に余裕のある民間金融機関が存在することを指摘した。このようなマイナス金利の環境下では、マクロ加算残高の枠に余裕のある民間金融機関は、短期金融市場にてマイナス金利で資金調達を行い、適用金利が0%であるマクロ加算残高で運用すれば、リターンを得ることができる。一方で、マイナス金利で運用する資産運用サイドの存在が問題となるが、国債の償還資金が流入することなどにより、政策金利残高に適用される-0.1%のコスト負担を避けたい民間金融機関が存在し、運用利回りが-0.1%以上であればマイナス金利であっても、短期金融市場での資産運用ニーズが生じるため、これらの双方の取引ニーズは合致することになる。
また、短期国債利回り(6ヶ月)は、日本銀行の買入の影響もあって、マイナス金利政策導入後は-0.1%よりも低い利回りで取引されることもあったが、直近は翌日物金利と同様の水準で推移するようになっている。短期金利は翌日物金利と同様にマクロ加算残高のコントロールの影響を受けており、将来のマイナス金利政策解除の市場期待に関する時間軸を織り込んで推移していくものと考えられる。
5 「わが国短期金融市場の動向-東京短期金融市場サーベイ(17/8月)の結果-」(日本銀行、2017年10月)
(2018年04月09日「基礎研レポート」)

03-3512-1848
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
福本 勇樹のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/21 | 日本国債市場は市場機能を回復したか-金融正常化における価格発見機能の構造変化 | 福本 勇樹 | 基礎研レポート |
2025/04/08 | 決済デジタル化は経済成長につながったのか-デジタル決済がもたらす新たな競争環境と需要創出への道筋 | 福本 勇樹 | 基礎研マンスリー |
2025/04/03 | 家計債務の拡大と老後に向けた資産形成への影響 | 福本 勇樹 | ニッセイ年金ストラテジー |
2025/03/26 | 決済デジタル化は経済成長につながったのか-デジタル決済がもたらす新たな競争環境と需要創出への道筋 | 福本 勇樹 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【マイナス金利政策による投資家の運用資産の保有割合の変化】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
マイナス金利政策による投資家の運用資産の保有割合の変化のレポート Topへ