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入院日数を短くしようという動きがあるの?-医療の進歩と医療費適正化政策で入院日数の短期化が進行中-
松岡 博司
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なぜ入院日数が短期化しているのでしょうか。
1――入院日数の実態
2――なぜ、入院期間が短くなったのでしょう
医療技術が進歩したことが入院日数短期化の第一の理由です。内視鏡手術や腹腔鏡手術など、開腹手術よりも体への負担が少ない新しい手術技法が確立されました。「日帰り手術」や「一泊手術」も珍しいものではなくなりました。
これにより、術後の体力が回復するまでの期間が短縮され、長く入院病棟にとどまっている必要はなくなりました。退院後の通院で治せるようになったのです。
政府による医療費適正化政策が入院日数の短期化を目指していることが第2の理由です。
若者よりも高齢者の方が入院治療を必要とする機会が多いですから、高齢化が進行する中、成り行きに任せておくと全体としての入院者数が増加していくことは避けられません。そこで政府が2000年代に入って導入した医療費適正化計画では、成人病の予防とともに入院日数の短期化が計画の柱とされてきました。
最初は都道府県間の入院日数の差が大きいことに着目して、最も入院日数の短い県に入院日数を近づける施策が採られました。
また、急性期の入院治療を受け持つ大病院と、入院前や退院後のケアを受け持つ地域の診療所や中小病院という、医療機関の機能分化を進め、入院前後の地域や家庭で受けられる医療を充実させることで、患者が短い入院から安心して帰れる体制作りも進められました。
この間、病院が医療保険から受ける診療報酬の制度においては、看護師の配置を手厚くし、質の高いケアを提供して、入院日数を少なくする方が病院にとって有利になる体系が導入されました。さらに入院日数を長くしてしまいがちであると指摘されてきた従来型の、入院日数や治療行為が多く積み上がるほど病院が報酬を多く受け取れる出来高払いの診療報酬体系とは別途、「傷病名」、「診療行為」、「入院日数(3区分)」に応じて定額の診療報酬を病院が受け取る体系の導入も進められています。こちらの体系では入院日数が短い区分に入るほど、病院が受け取る診療報酬の計算が病院にとって有利になります。
3――さいごに
日頃から、家族に入院者が出た場合にどのような看護体制を取ればいいのか、地域の協力医療機関との連携をどう取ればいいのかなど、具体的に考えておき、いざという時に慌てないでいいようにしておきたいものです。
また政府や都道府県には、入院者や家族が安心していられるよう、しっかりと連携が機能する地域の医療・介護体制の整備を期待したいですね。
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(2018年05月31日「基礎研レター」)
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