2018年01月30日

良好な環境が続くも、地政学リスクを注視~価格のピークは東京五輪前、インフラ施設に注目~第14回不動産市況アンケート結果

金融研究部 主任研究員 吉田 資

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アンケートの概要

株式会社ニッセイ基礎研究所では、不動産市況の現状および今後の方向性を把握すべく、2004年より不動産分野の実務家・専門家を対象に「不動産市況アンケート」を実施している。本アンケートは、今回で14回目となり113名から回答を得た。

-調査対象;不動産・建設、商社、金融・保険、不動産仲介、不動産管理、不動産鑑定、不動産ファンド運用、不動産投資顧問・コンサルタント、不動産調査・研究・出版、不動産に関連する格付、などに携わる実務家および専門家。
-アンケート送付数;197名
-回答者数;113名(回収率;57.4%)
-調査時期;2018年1月15日から19日
-調査方法;Eメールによる調査票の送付・回収



アンケート回答者の属性(所属先内訳)は、「不動産ファンド運用・不動産投資顧問」(25.7%)が最も多く、次いで「不動産・建設・商社」(24.8%)、「その他不動産関連サービス(不動産調査・研究・出版、不動産に関する格付など)」(24.8%)、「不動産仲介・管理・鑑定」(16.8%)、「金融・保険」(8.0%)であった。回答者の属性に大きな偏りは見られず、本アンケートは不動産市況の実態に関して、属性による偏りを概ね排除していると考えられる。
[アンケート回答者の属性(所属先内訳)]

アンケートの結果

アンケートの結果

1.不動産投資市場の景況感
(1)現在の景況感
「不動産投資市場全体(物件売買、新規開発、ファンド組成)の現在の景況感」について質問したところ、「良い」との回答が5割弱、「やや良い」との回答が約3割を占めた。一方、「悪い」との回答は4年連続で0%であった(図表-1)。

第10回調査(2013年末)以降、景況感に対してプラスの回答(「良い」と「やや良い」の合計)が7割以上を占める一方、マイナスの回答(「悪い」と「やや悪い」の合計)は1割未満に留まっている。不動産投資市場の景況感は、長期にわたり良好な状況が継続している。
図表-1 不動産投資市場全体の現在の景況感
(2) 6ヵ月後の景況見通し
「不動産投資市場全体の6ヵ月後の景況見通し」について質問したところ、「変わらない」との回答が最も多く、約7割を占めた(図表-2)。ただし、悪化との回答(「悪くなる」と「やや悪くなる」の合計)が大幅に減少したことで、不動産投資景況見通しDIは12.4%とプラスに転じた(図表-3)。日本経済は、好調な企業業績に支えられた堅調な設備投資や、海外経済の回復と円安基調を背景とした底堅い輸出により、堅実な回復が続いている。弊社「中期経済見通し」では、今後10年間の実質GDP成長率は平均1.0%となり、過去10年間の平均0.5%を上回ると予想している。今後も持続的な経済成長が見込まれることが、不動産投資景況見通しDIがプラスに転じた一因と考えられる。
図表-2 不動産投資市場全体の6ヶ月後の景況見通し
図表-3 不動産投資景況見通しDI(6ヶ月後)

(2018年01月30日「不動産投資レポート」)

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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴
  • 【職歴】
     2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
     2018年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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