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- 「パワーカップル」世帯の動向(2)-年収700万円超の妻はDINKSだけでなく、出産前後の30歳代や子育て中もキャリアを積み続けた50歳代のDEWKSでも多い
「パワーカップル」世帯の動向(2)-年収700万円超の妻はDINKSだけでなく、出産前後の30歳代や子育て中もキャリアを積み続けた50歳代のDEWKSでも多い

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 「パワーカップル世帯の動向(1)」では、夫婦ともに年収700万円超は共働き世帯のわずか1.8%だが、じわりと増加傾向にあること、また、高年収の妻ほど夫も高年収で、近年、夫が高年収世帯でも働く妻が増えているため、夫婦世帯間の経済格差拡大の可能性を指摘した。本稿ではパワーカップル世帯の実態をより詳しく捉えるために、妻の収入による年代やライフステージ、雇用形態の違いを確認する。
- 共働き妻では年収300万円未満が7割弱で圧倒的に多く、パワーカップル妻と見られる年収700万円超は共働き妻全体の5.3%である。年代別には、30歳代(7.4%)や50歳代(6.5%)で、雇用形態別には正規雇用者(10.4%)で比較的多い。なお、年齢とともに正規雇用者が減り、40歳代以上では非正規雇用者が6割を超える。
- 20歳代より30歳代で年収700万円超の高年収層が増えること、30歳代より40歳代で高年収層が減り年収300万円未満が増えるとともに非正規雇用者率も高まることから、女性では出産頃までは順調にキャリアを積むものの、出産・子育てを機に離職し、子育てが落ち着いてから家庭を重視した働き方をすることも多い様子が窺える。
- ライフステージで見ても同様の様子が見られ、結婚より第一子誕生で高年収層が増え、第一子誕生より第一子小学校入学で高年収層が減り年収300万円未満が増え、年収300万円未満層が多い状態は第一子高校入学まで続く。ただし、高年収層は第一子大学入学や末子独立でも比較的多く、子育て中もキャリアを積み続ける女性も存在する。一昔前は高年収妻というとDINKSの印象が強かっただろうが、現在では出産前後の30歳代や子育て中もキャリアを積み続けた50歳代DEWKSでも多くなっている。
- 女性の働き方は夫の長時間労働や社会的風潮など外的要因の影響が大きく、育休や時短を利用すると「マミートラック」に固定されかねない状況もある。子育て期の不本意な離職は、労働者個人にも社会全体にも不利益だ。キャリアコースが多様化し働き方を自由に選べるようになれば、生涯に渡って収入を得やすくなり、消費活性化にもつながる。
■目次
1――はじめに
2――妻の収入から見た働き方の違い
1|年代別に見た収入分布
~パワーカップル妻は共働き妻の5.3%、30代や50代で多い
2|雇用形態別に見た収入分布
~パワーカップル妻は正規雇用者の10.4%、非正規や自営では3%程度
3|ライフステージ別に見た収入分布~パワーカップル妻はDINKSのほか、
第一子出産前後の30歳代と子育て中もキャリアを積み続けた50歳代のDEWKSで多い
3――おわりに~キャリアコースの多様化で不本意な子育て期の離職を防ぐことで、
消費活性化の期待も
(2017年09月12日「基礎研レター」)
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03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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