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「パワーカップル」世帯の動向(4)-パワーカップルの高額消費、「時間がない」を解決する消費に期待

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 前稿で、妻の年収別に暮らし向きの違いを見たところ、妻の年収が多いほど世帯金融資産は多く、経済的余裕感は強かった。一方、これらと持家率は必ずしも比例せず、家の所有よりも、安定した収入や手元に金融資産があることの方が経済的余裕をもたらす様子が窺えた。なお、パワーカップル妻はマンションの所有率が高いという特徴もあった。最終回の本稿では、妻の収入別に日常生活における情報源やお金をかけたいものを見ることで、消費者としての違いを確認する。
- 日常生活における情報源は、年収によらず、「テレビ番組」が最も多く、次いで「ポータル・ニュースサイト」、「新聞(一般紙)」と続く。なお、共働き妻全体と比べて年収700万円以上のパワーカップル妻で多いものは、「新聞(専門紙)」や「ダイレクトメール」、「雑誌・書籍」、「個別企業サイト」、「セミナー・イベント」であり、専門領域に特化し時には専門知識も要する情報源や特定層を対象としたものが多い。
- 日常生活の中で今後(も)お金をかけていきたい先は、年収によらず、「国内旅行」が最も多い。なお、共働き妻全体と比べてパワーカップル妻で多いものは、「海外旅行」や「外食(グルメ)」、「国内旅行」、「その他の自分の趣味」、「自己啓発」、「ローン返済」、「自動車・バイク」であり、比較的高額を要する消費領域が多い。
- 四回に渡り「パワーカップル世帯の動向」を見てきた。今後、共働き世帯やパワーカップル世帯の増加で「時間がない」ことを解決する消費の活性化が期待される。時間を短縮し効率的に家事等を進める、あるいは家事や育児を代行(アウトソーシング)してもらうような商品・サービスのニーズが強まるだろう。また、パワーカップルでは、これらの更なる拡大に加えて、海外旅行などの高額消費も期待できる
- 一方で、これまでにも述べた通り、若い世代ほど経済不安が強く、貯蓄性向が高まる傾向もある。パワーカップルをはじめとした共働き世帯の消費を活性化するためには、ニーズにあう商品・サービスを充実させるとともに、社会保障制度の持続可能性を担保することや可処分所得の引き上げ等により、現役世代の経済不安を緩和させることが必要だ。
■目次
1――はじめに
2――妻の年収区分別の日常生活における情報源の違い
~年収によらずテレビやニュースサイト、新聞が多いが、パワーカップル妻では
専門領域に特化した情報源が多い
3――妻の年収三区分別の日常生活の中で今後(も)お金をかけていきたい先
~年収によらず最も多いのは国内旅行、パワーカップル妻では海外旅行や外食、
自動車などの高額消費が多い
4――おわりに~パワーカップルには「高額消費」と共働きの「時間がない」を
解決する消費の拡大が期待
(2017年11月07日「基礎研レター」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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