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- 欧州経済見通し-回復続くユーロ圏。ECBは慎重に緩和縮小を模索/EU離脱に揺れる総選挙後の英国-
2017年06月12日
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■要旨
- ユーロ圏では個人消費の堅調に投資と輸出の回復が加わり、景気拡大テンポが速まっている。17年の実質GDPは2.0%と引き続き1%台前半の潜在成長率を超えるだろう。個人消費は雇用・所得環境の改善、良好な消費者心理に支えられた拡大が続く。固定資本投資も企業業績の好調や高稼働率、緩和的な金融環境を背景に回復基調を維持しよう。
- インフレ率は17年1.6%、18年1.5%と予想する。ECBの物価安定の目安である「2%以下でその近辺」に届かないが、18年後半にかけて安定水準への回帰が緩やかなペースで進むだろう。ECBは18年に資産買入れ額を段階的に縮小し、年内に停止(再投資は継続)しよう。利上げの着手は19年以降となろう。
- 英国経済は、ポンド安を一因とする実質所得の減少で景気が減速し始めている。設備投資も抑制され、住宅市場にも陰りが見え始めた。EUとの離脱交渉、離脱後のFTA交渉は難航する見込みであり、投資、雇用は抑制された状態がしばらく続く。
- メイ首相の「敗北」に終った総選挙の結果で、離脱撤回や離脱戦略がハードからソフトに直ちに転換することはないが、無秩序な離脱回避への圧力は強まるだろう。しかし、リスクは排除できず、BOEが予測期間中に利上げすることは困難と予想する。
■目次
1. 回復続くユーロ圏、ECBは慎重に緩和縮小を模索
・現状:個人消費の堅調続く、投資、輸出も持ち直す
・インフレ動向:ゼロ近辺の推移を脱し、1%台を回復
・見通し:実質GDPは17年2.0%、18年1.7%、インフレ率は17年1.6%、18年1.5%
・金融政策:デフレ・リスク回避措置修正に着手。6月は利下げバイアスを解除
・金融政策の見通し:資産買入れは 18年にテーパリング~停止。利上げは19年以降
・見通しのリスク:圏内の政治リスクは緩和、圏外の景気や市場環境急変リスクは残る
2. EU離脱に揺れる総選挙後の英国
・英国経済の現状:EU離脱選択の影響が表れ始める
・メイ首相「敗北」の理由:リーダーシップを強調する戦略のミス。底流には緊縮疲れ
・EU離脱:移行期間とソフトな離脱への戦略転換は英国次第。
期限延長と撤回はEUの承認事項
・英国経済の見通し:実質所得減少とEU離脱協議を巡る不透明感が重石に
1. 回復続くユーロ圏、ECBは慎重に緩和縮小を模索
・現状:個人消費の堅調続く、投資、輸出も持ち直す
・インフレ動向:ゼロ近辺の推移を脱し、1%台を回復
・見通し:実質GDPは17年2.0%、18年1.7%、インフレ率は17年1.6%、18年1.5%
・金融政策:デフレ・リスク回避措置修正に着手。6月は利下げバイアスを解除
・金融政策の見通し:資産買入れは 18年にテーパリング~停止。利上げは19年以降
・見通しのリスク:圏内の政治リスクは緩和、圏外の景気や市場環境急変リスクは残る
2. EU離脱に揺れる総選挙後の英国
・英国経済の現状:EU離脱選択の影響が表れ始める
・メイ首相「敗北」の理由:リーダーシップを強調する戦略のミス。底流には緊縮疲れ
・EU離脱:移行期間とソフトな離脱への戦略転換は英国次第。
期限延長と撤回はEUの承認事項
・英国経済の見通し:実質所得減少とEU離脱協議を巡る不透明感が重石に
(2017年06月12日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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