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- 6月も続く欧州の政治イベント-メイ首相の保守党、マクロン大統領の共和国前進が議会選で優位を保つ-
2017年05月22日
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■要旨
- 6月は8日に英国が総選挙、11日と18日にフランスが国民議会選挙を予定する。
- 英国では、保守党の勝利が予想され、EU離脱が「単一市場からも関税同盟からも離脱」する「ハードな離脱」となる可能性が最も高い状況は変わらないだろう。保守党はEU離脱から新たなFTAへの「円滑で秩序立った」移行を掲げるが、「悪い協定であれば協定なしの離脱の方が良い」ともあり、無秩序な離脱のリスクも排除できない。
- 総選挙の結果が離脱撤回やスコットランドの独立につながる可能性はない。最大野党・労働党は「ソフトな離脱」、「協定なしの離脱は拒否」を掲げる。同党の支持率の回復傾向はEU離脱戦略よりも、「普通の労働者のための政治」を掲げる保守党への対立軸として、より左派色の強い公約を掲げたことにあるようだ。自由民主党は「国民投票の再実施」を掲げ、SNPは「ハードな離脱なら独立」を主張するが、共に有権者の支持は盛り上がっていない。
- フランスでは、マクロン大統領の「共和国前進(REM)」が支持率第1位に立つ。過半数の確保も可能という調査もあるが情勢は流動的だ。マクロン大統領は共和党のエドワール・フィリップ氏を首相に指名、超党派の内閣が発足、さっそく労働市場の高コスト体質・硬直性を是正するための改革法案の策定に動き出した。
- マクロン大統領にとって、まずは国民議会に公約の実現を支える体制を構築することが重要だが、最大の課題は痛みを伴う改革に国民の理解を得ることだ。
(2017年05月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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