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- メイ首相が目指すのはハードな離脱なのか?
2017年01月20日
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■要旨
- 1月17日、英国のテリーザ・メイ首相が欧州連合(EU)からの離脱について12の基本方針を示し、EUの単一市場からの離脱を明言した。
- 単一市場に残留すれば、EU離脱ショックや移行期の混乱は最小化されただろうが、離脱に票を投じた英国民の意志に反する。単一市場への残留は、政治的に困難だった。
- 英国はEUとの交渉で包括的な自由貿易協定(FTA)の締結を目指す。他地域との貿易協定の交渉を妨げるため、EUの関税同盟からも離脱、EUとは新たな関税協定締結を目指す。
- スケジュール面では、告知から離脱までの2年間でEUとの新たな関係に関する協議をまとめ、離脱後、段階的な移行のプロセスに入り、「崖っぷち」を回避する方針を示した。
- 英政府の方針通りに展開すれば、離脱は英経済や英国で活動する企業にとって「ハード」なものとはならない可能性がある。だが、27カ国で構成するEUと広範なFTAを2年以内にまとめることは困難であり、英政府の望む順序、スピードで交渉が推移するとは限らない。
- 首相は、EUが英国を罰するべきとの立場から、英国な不利な条件を強いるのであれば、協定なしで離脱する覚悟も示した。そうなれば「崖からの転落」、「ハード」な離脱となる。
- 離脱が「ハード」になるか「ソフト」になるかは、EUとの協議によって決まる部分が大きく、現段階ではあまり明るい展望を描くことはできない。
(2017年01月20日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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