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ふるさと納税に規律付け機能を-行政サービス見せる化計画
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 高岡 和佳子
それに、税金の使われ方を考える寄附者が大多数ならば、寄附額に対する返礼品の価格割合を3割までとするよう通達が出される事もなかっただろう。理念と異なり、ふるさと納税は税金の使われ方を考えるきっかけとはなっていないのではないだろうか。
返礼品で寄附先を選択している寄附者であっても、より小さな労力で税金の使われ方をチェックできるのであれば、その使われ方を考えるかもしれない。そこで、寄附を受領した自治体に対し、寄附者の居住地自治体と寄附先自治体との行政サービス比較レポートを送付する義務を課してはどうだろうか?「見える化」ではなく「見せる化」により、税金の使われ方を考えるきっかけとなる可能性を高めるのが狙いだ。
試しに、平成27年度の寄附受入金額上位10自治体並びに、ふるさと納税により税収が大きく減ったと報道される横浜市並びに世田谷区の計12自治体を対象に行政サービスを比較する。比較項目は(1)水道料金、(2)認定保育所月額利用料、(3)介護保険の第1号保険料(月額)、(4)市区町村職員の初任給基準額(大学卒)、(5)市区町村長給料月額、(6)議会議員の平均報酬月額とした(図表2~図表7)。
介護保険の第1号保険料(月額)や市区町村職員の初任給基準額(大学卒)のように、さほど差がない項目もあるが、他の項目は市町村によって大きく異なる。税金の使われ方に興味がなくても、何か感じるのではないだろうか。行政サービスの「見せる化」により、期待できる効果は納税意識の高まりだけではない。
「見せる化」の公平な比較項目や比較方法など検討すべきことが多いものの、ふるさと納税の意義がより高められると思うのだが、いかがだろうか。

03-3512-1851
(2017年06月01日「研究員の眼」)
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