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- 若年層の消費実態(5)-どこまで進んだ?デジタル・ネイティブ世代の「テレビ離れ」と「ネット志向」
2017年02月15日
1――はじめに
これまでに基礎研レター「若年層の消費実態(1)~(4)」にて、総務省「全国消費実態調査」等のデータを用いて、今の若者の食料品や外食、クルマ、ファッションに対する支出変化を捉えてきた。その結果、今の若者は、節約志向の強まりや消費社会の成熟化による物質的欲求の低下などを背景に、「お金を使わない」、「お金を使わなくてもすむ」様子がうかがえた。
第五弾の本稿では、今の若者が「お金を使っている」であろう通信の状況を捉える。よく世間では、デジタル・ネイティブ世代である今の若者の「テレビ離れ」や「ネット志向」が言われている。本稿では、まず、若者のメディア利用の変化を確認し、通信費の状況を見ていく。
第五弾の本稿では、今の若者が「お金を使っている」であろう通信の状況を捉える。よく世間では、デジタル・ネイティブ世代である今の若者の「テレビ離れ」や「ネット志向」が言われている。本稿では、まず、若者のメディア利用の変化を確認し、通信費の状況を見ていく。
2――デジタル・ネイティブ世代の成長と情報通信技術の進化~ネットやケータイの普及・進化とともに育つ
1990年生まれは、生まれた時からパソコンがあり、携帯電話やインターネットの普及とともに育ってきた(図表1)。総務省「通信利用動向調査」によると、パソコンや携帯電話の世帯保有率、インターネット利用率は1990年代後半から2000年代初頭にかけて飛躍的に上昇している(図表2)。また、情報端末の進化や様々なアプリケーションサービスの登場により、1990年生まれでは、小学生時代に携帯電話で写真付きメールを送ることができ、中学生時代には、mixiやGREEなどのSNSサービスやオンラインゲームが登場する。成人する頃には、タブレット端末やスマートフォンが普及しはじめ、LINEなどのコミュニケーションアプリも登場する。最近では端末機能の更なる向上やWi-Fi環境の広がりにより、データ容量の大きな動画なども利用しやすくなり、コミュニケーション手段は音声やテキストだけでなく、写真や映像にも広がっている。
このようにインターネットや写真・映像を用いたコミュニケーションとともに育ってきたデジタル・ネイティブ世代では、メディア利用の状況も変わっている。
このようにインターネットや写真・映像を用いたコミュニケーションとともに育ってきたデジタル・ネイティブ世代では、メディア利用の状況も変わっている。
3――デジタル・ネイティブ世代のメディア利用の状況
1|メディア利用時間の変化~「テレビ離れ」・「ネット志向」の進行で2017年には20代男性で逆転の予測、現在のところ「ながら利用」でテレビ利用時間が最も長い
NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」によると、20代では、テレビやラジオ、新聞、雑誌などの従来メディアの利用時間が減少する一方、インターネットやビデオ・HDD・DVD(録画したテレビ番組、ネット配信テレビも含む)の利用時間は増加している(図表3)。なお、2010~2015年にかけての利用時間の変化率から将来の値を推計すると、20代男性では2017年にテレビとインターネットの利用時間が逆転する。よく世間で言われている通り、確かに今の若者では「テレビ離れ」と「ネット志向」が進行しているようだ。また、テレビは受動性の高いメディアであり、テレビをつけながら他の行動をする「ながら利用」をしやすいこと、一方でインターネットは自ら情報を収集する能動性の高いメディアであることを鑑みると、利用時間の変化から見える「テレビ離れ」と「ネット志向」よりも実際の状況は進んでいるだろう。
NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」によると、20代では、テレビやラジオ、新聞、雑誌などの従来メディアの利用時間が減少する一方、インターネットやビデオ・HDD・DVD(録画したテレビ番組、ネット配信テレビも含む)の利用時間は増加している(図表3)。なお、2010~2015年にかけての利用時間の変化率から将来の値を推計すると、20代男性では2017年にテレビとインターネットの利用時間が逆転する。よく世間で言われている通り、確かに今の若者では「テレビ離れ」と「ネット志向」が進行しているようだ。また、テレビは受動性の高いメディアであり、テレビをつけながら他の行動をする「ながら利用」をしやすいこと、一方でインターネットは自ら情報を収集する能動性の高いメディアであることを鑑みると、利用時間の変化から見える「テレビ離れ」と「ネット志向」よりも実際の状況は進んでいるだろう。
なお、同調査では、インターネットの利用について、他の行動をしながら行う「ながら利用」と、インターネットだけをしている「専念利用」に分けて利用時間を捉えている(ただし国民全体の値)。それによると、インターネット利用時間のうち「ながら利用」は27.1%、「専念利用」は72.9%である。また、2015年調査報告書によると、インターネットの「ながら利用」で最も多い行動はテレビとのことだ。
一方で、テレビの利用時間は減少しているとはいえ、直近の2015年調査でも20代のメディア利用時間の中で最も長い(女性は圧倒的)。よって、今の若者では「テレビ離れ」が進行しているとはいえ、現在のところ、テレビには無視できない影響力があるだろう。
なお、国民全体ではインターネットの利用時間は増加傾向にあるが、他のメディアについては、高年齢層における利用時間の長さから、20代ほど大きな変化はない(わずかに減少傾向)。
一方で、テレビの利用時間は減少しているとはいえ、直近の2015年調査でも20代のメディア利用時間の中で最も長い(女性は圧倒的)。よって、今の若者では「テレビ離れ」が進行しているとはいえ、現在のところ、テレビには無視できない影響力があるだろう。
なお、国民全体ではインターネットの利用時間は増加傾向にあるが、他のメディアについては、高年齢層における利用時間の長さから、20代ほど大きな変化はない(わずかに減少傾向)。
2|インターネット利用内容の変化~利用端末はPCからスマホへ、SNSや動画視聴、ゲーム利用の増加
インターネットの利用機器の変化に伴い、利用内容も変わっている。図表5を見ると、2010年も2015年も、20代のインターネット利用内容の首位は「電子メールの送受信」だが、2015年では2位に「SNSの利用」、3位に「動画投稿・共有サイトの利用」が上昇している。なお、選択割合は、「ホームページ・ブログの閲覧、書き込み」(△8.0%pt)や「商品・サービスの購入・取引」(△3.2%pt)はやや低下する一方、「SNSの利用」(+56.7%pt)や「動画投稿・共有サイトの利用」(+31.5%pt)、「オンラインゲームの利用」(+23.6%pt)は大幅に上昇している。
つまり、利用機器がパソコンからスマートフォンへ変わるとともに、インターネット利用内容は、従来のインターネット利用では代表的だったWeb閲覧などが減り、SNSや動画、ゲームなど、よりエンターテイメント色が濃いものが増えている。これは、端末の性能向上のほか、個人で携帯するというスマートフォンの端末特性、そして、パソコンでインターネットに接続する場合は、目的によらず基本的にWebブラウザ経由となる一方、スマートフォンでは目的別に作られたアプリ経由である影響などが指摘できる。
つまり、利用機器がパソコンからスマートフォンへ変わるとともに、インターネット利用内容は、従来のインターネット利用では代表的だったWeb閲覧などが減り、SNSや動画、ゲームなど、よりエンターテイメント色が濃いものが増えている。これは、端末の性能向上のほか、個人で携帯するというスマートフォンの端末特性、そして、パソコンでインターネットに接続する場合は、目的によらず基本的にWebブラウザ経由となる一方、スマートフォンでは目的別に作られたアプリ経由である影響などが指摘できる。
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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