2017年01月30日

【10-12月期米GDP】前期比年率+1.9%、純輸出の特殊要因が剥落し、前期から大幅低下。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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(図表6)米国の実質政府支出(寄与度) (政府支出)国防関連支出が減少も、地方政府支出が増加
政府支出は、地方政府支出が前期年率+2.6%(前期:▲0.2%)と前期からプラスに転じ、成長を押上げた(図表6)。

一方、連邦政府支出では、非国防支出が+2.3%(前期:+3.0%)と前期から伸びが鈍化したほか、国防関連支出が▲3.6%(前期:+2.0%)と前期からマイナスに転じた。この結果、連邦政府支出は▲1.2%(前期:+2.4%)と前期からマイナスに転じた。
(貿易)米国産大豆輸出の落ち込みにより、輸出は減少
 10-12月期の純輸出は大幅な落ち込みとなったが、輸出入の内訳をみると、輸入が前期比年率+8.3%(前期:+2.2%)と伸びが加速したことに加え、輸出が▲4.3%(前期:+10.0%)と前期からマイナスに転じた(図表7、8)。とくに、南米の天候不順により前期に押上げられた米国産大豆の輸出が、当期はその反動で落込んだことが純輸出に大きく影響した。
(図表7)米国の実質輸出(寄与度)/(図表8)米国の実質輸入(寄与度)
実際、輸出を仔細にみると、サービス輸出が+0.9%(前期:+2.0%)と小幅な鈍化に留まった一方、財輸出が▲6.9%(前期:+14.4%)と前期から大幅なマイナスに転じた(図表7)。とくに、財輸出では、食料・飲料が▲55.2%(前期:+216.8%)と米国産大豆輸出の影響により大幅な落ち込みとなったことが分かる。

一方、輸入では、サービス輸入が▲2.7%(前期:+9.8%)と前期からマイナスに転じたものの、財輸入が+10.9%(前期:+0.5%)と2桁の伸びに加速した(図表8)。サービス輸入では特許使用料等が▲35.1%(前期:+65.1%)と、前期が大幅な伸びとなった反動でマイナスに転じたことが響いた。財輸入では、自動車・自動車部品が+10.4%(前期:+4.5%)と前期から伸びが加速したほか、消費財(除く食料品・自動車)が+16.5%(前期:▲1.4%)と5期ぶりに大幅なプラスに転じた。
(物価・名目値)物価は緩やかながら上昇基調が持続
10-12月期のGDP価格指数は、前期比年率+2.1%(前期:+1.4%)と前期から伸びが加速、市場予想(同+2.1%)には一致した。名目GDP成長率は前期比年率+4.0%(前期:同+5.0%)と、前期から低下した(図表9)。

FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+2.2%、前年同期比+1.5%(前期:+1.5%、+1.0%)となった(図表10)。さらに、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前期比年率+1.3%、前年同期比+1.7%(前期:+1.7%、+1.7%)となった。

PCE価格指数(前年同期比)はエネルギー価格の持ち直しもあり、15年7-9月期の+0.3%を底に緩やかながら上昇基調が持続しており、FRBが目標とする2%を上回った。もっとも、FRBが物価動向を判断する上で重視しているコア価格指数の方は、目標水準を下回って安定推移しており、政策金利の引き上げペースを加速させるほどの物価上昇圧力の高まりはみられない。
(図表9)米国の名目と実質の成長率/(図表10)米国のPCE価格指数伸び率
 
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2017年01月30日「経済・金融フラッシュ」)

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