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ますます巨大化する米国の大手医療保険会社~国民に医療保障を届ける唯一無二の存在へ-オバマケアの帰趨に左右されない強さ-
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【ニューヨーク】
・米国の医療費は非常に高額です。その中でも、ニューヨーク市マンハッタン区の医療費は同区外の2倍から3倍ともいわれており、一般の初診料は150ドルから300ドル、専門医を受診すると200ドルから500ドル、入院した場合は室料だけで1日数千ドルの請求を受けます。
・例えば、急性虫垂炎で入院し手術後腹膜炎を併発したケース(8日入院)は7万ドル、上腕骨骨折で入院手術(1日入院)は1万5千ドル、貧血による入院(2日入院、,保存療法施行)で2万ドル、自然気胸のドレナージ処置(6日入院、手術無し)で8万ドルの請求が実際にされています。
・治療費は、診察料、施設利用料、血液検査代、画像検査代、薬品代などとそれぞれ別個に請求されるので注意する必要があります。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/n_ame/ny.htmlより
【マイアミ】
・マイアミを含めフロリダ州は最新医療設備と技術を有する医療機関が多く、海外から最新の医療サービスを求め来訪する外国人も多く見られます。しかし、医療費は米国の中でも高額で、医療保険の有無により受けられる医療の質に大きな格差が生じています。
・医療保険に加入していない場合には、現金またはクレジットカードによる医療費の支払いが必要です。入院を必要とする際には数万ドルの保証金を請求されることがあります。集中治療室(ICU)に入院した場合は、1日当たり概ね1万ドルの医療費請求は普通です。1、2週間の治療で数十万ドルの医療費を請求されることがありますので、それに見合った医療保険の加入を強くお勧めします。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/n_ame/miami.htmlより
【ワシントンD.C.】
・医療訴訟が多い為、医師や病院が支払う損害賠償保険料が高くそれが医療費に跳ね返り、医療産業に従事する人(特に経営者層)の人件費が高いのと相まって医療費が非常に高額になっています。
・手術・入院費など米国の医療費は、非常に高額であり、海外旅行傷害保険等には、十分な補償額で加入しておく必要があります。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/n_ame/usa.htmlより
【ホノルル】
・救急車を利用する際には、911に電話連絡しますが、日本と異なり有料になります。救急車内での処置のレベルによって料金が異なります。毎年10%以内の料金の変更がありますが、2014年では移送だけで375ドル、高度の救急処置が必要な場合には450ドルまで料金に幅があります。
・ 医療費は日本に比べ非常に高額で、ICUへの入院や手術となると1,000万円を超えることも稀ではありません。 クレジットカード付帯の保険では不十分なことが多く,日本を発つ前に海外旅行傷害保険に加入することをお勧めします。 その場合,万が一に備え,治療費を無制限にするのが望ましいと考えます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/n_ame/honolulu.htmlより
http://www.nli-research.co.jp/files/topics/52143_ext_18_0.pdf?site=nliより
ここには、医療という命に関わる領域を、「競争」、「自己責任」、「弱肉強食」の市場原理に委ねたことの矛盾が感じられる。
米国では医療費の決定に国が介入せず、医療費は当事者間の自治・交渉により決定される。しかし現実的には、医療プロバイダー側が圧倒的に知識・情報量で勝るのに対し、患者側は命・健康を守るためには医療プロバイダーの協力をあおがなければならないという非対称性がある。市場原理に委ねれば医療費が高くなることは自明のように思われる。
それに加え、米国では医療プロバイダーの人件費が高いこと、医療訴訟が多発するため医師が保険に加入したり余計な治療前検査を行いがちであることも、医療費を高騰させる一因であると言われている。
2|民間が大きな役割を果たす米国の医療保障制度
グラフ2は、米国民の各種医療保険への加入率の状況である。
(2017年01月18日「基礎研レポート」)
松岡 博司のレポート
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