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製造業を支える高度部材産業の国際競争力強化に向けて(前編)-エレクトロニクス系高度部材産業の現状と目指すべき方向
社会研究部 上席研究員 百嶋 徹
これまで自動車産業とともに我が国の製造業の中核を担ってきたエレクトロニクス産業では、半導体・液晶パネルや家電など主力分野の一部において、韓国や中国など海外メーカーの急速な追い上げにより、国際競争力が著しく低下し、大幅な業績悪化に陥った企業では、人員削減や事業再編など抜本的な構造改革を迫られる場面が近年散見された。
その一方で、これらの分野に部材(部品・材料や加工技術)を供給してきた我が国のサプライヤー群の中には、米アップルのスマートフォン「iPhone」など世界的なヒット製品の中核部材の供給を担うなど、高い国際競争力を維持している企業が散見される。これらの企業群は、世界的な顧客企業から、優れた基幹部品(キーデバイス)・材料や精密加工技術など「高度部材」に関わるものづくり力を高く評価されているとみられる。これらの高度部材産業は、エレクトロニクス分野にとどまらず、自動車、ロボット、医薬品、食品など幅広い製造業を支える「キーインダストリー」と言ってもよい。
このように我が国の高度部材産業は、国内製造業の中でも比較的強い競争力を有してきたが、近年、半導体や液晶パネルなどと同様に、韓国・台湾・中国などのアジア勢を中心とした海外メーカーの追い上げなどにより、一部の分野で競争力が低下しつつある。
そこで本稿と次稿の2編にわたり、我が国の高度部材産業の現状と課題、今後の在り方について、既存文献や各種リリース資料などの公開資料を基に、エレクトロニクス系高度部材産業を中心に考察することとしたい。まず、前編の本稿では、具体的なデータや事例に基づいて、我が国の高度部材産業の現状と課題について考察したい。
■目次
1――はじめに
2――高度部材産業は「機能性部材産業」と「サポーティングインダストリー」に大別される
1|高度部材産業とは
2|開発過程と企業規模に関わる特徴
3|多様で広範な産業分野に及ぶ具体事例
4|高度部材産業と川下産業の擦り合わせが我が国製造業の強みの源泉
3――高度部材産業において高い競争力を誇ってきた日本企業
1|競争力が急速に低下する川下のエレクトロニクス産業
2|高い競争力を誇る機能性部材産業
3|世界的な顧客企業の信頼を勝ち得るサポーティングインダストリー
4――陰りが見え始めた日本の高度部材産業の競争力
1|一部の製品分野で競争力に陰りが見え始めた機能性部材産業
2|一部の分野で構造改革を迫られるサポーティングインダストリー
5――前編のまとめ
(2016年12月30日「基礎研レポート」)
社会研究部 上席研究員
百嶋 徹 (ひゃくしま とおる)
研究・専門分野
企業経営、産業競争力、産業政策、イノベーション、企業不動産(CRE)、オフィス戦略、AI・IOT・自動運転、スマートシティ、CSR・ESG経営
03-3512-1797
- 【職歴】
1985年 株式会社野村総合研究所入社
1995年 野村アセットマネジメント株式会社出向
1998年 ニッセイ基礎研究所入社 産業調査部
2001年 社会研究部門
2013年7月より現職
・明治大学経営学部 特別招聘教授(2014年度~2016年度)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
・(財)産業研究所・企業経営研究会委員(2007年)
・麗澤大学企業倫理研究センター・企業不動産研究会委員(2007年)
・国土交通省・合理的なCRE戦略の推進に関する研究会(CRE研究会) ワーキンググループ委員(2007年)
・公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会CREマネジメント研究部会委員(2013年~)
【受賞】
・日経金融新聞(現・日経ヴェリタス)及びInstitutional Investor誌 アナリストランキング 素材産業部門 第1位
(1994年発表)
・第1回 日本ファシリティマネジメント大賞 奨励賞受賞(単行本『CRE(企業不動産)戦略と企業経営』)
百嶋 徹のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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