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アップルのものづくり経営に学ぶ -創造性(製品企画開発力)と経済性(収益力)の両立の徹底追求
社会研究部 上席研究員 百嶋 徹
1―はじめに
2―アップルの企業概要
3―長期的な財務分析
4―サプライチェーン改革に関わる考察
5―自社小売店舗網の構築に関わる考察
6―部品調達・生産委託と設備投資の考え方
7―世界を良くしたいという高い志が経営の原動力
8―日本企業へのインプリケーション
■introduction
米アップルは、2001年発売の携帯音楽プレーヤー「iPod」を皮切りに、スマートフォン「iPhone」、タブレット「iPad」など、人々のライフスタイルを豊かにする画期的な製品・サービスを相次いで開発・発売し、それらの大ヒットにより世界を代表するハイテク企業に躍進した。
しかし、アップルも順風満帆でここまで来たわけではない。90年代後半にパソコンのOSを巡る競争で米マイクロソフトの「Windows」に敗れ、パソコンの市場シェアを低下させ経営危機に陥った。未曾有の経営危機を受けて、経営方針を巡る対立などにより85年に同社を去った創業者のスティーブ・ジョブズ氏が97年に暫定CEO(最高経営責任者)に復帰した。アップルが経営危機を脱し、その後躍進できたことについては、ジョブズ氏がカリスマ性を持った時代を先取りするビジョナリーとして果たした役割を抜きには勿論語れないが、ジョブズ氏の経営哲学やビジョンを実現・実践すべく、あらゆる事業プロセスで徹底した「定石戦略」が組織的に追求されている点も見逃せない。
本稿では、後者の視点から、経済性(収益性)を犠牲にせずに製品企画開発における創造性を徹底追求する、アップルのものづくり経営の本質について、財務データや既存文献などの公開資料を基に考察する。2000年代半ば以降高成長を遂げてきたアップルも、直近の2013年度第1四半期決算(12年10~12月)では利益が横ばいにとどまり、これまでの成長神話が揺らいでいるとの見方もある。しかし、足下の業績のいかんに関わらず、アップルの経営危機からの復権の軌跡は、業績不振に陥っている家電メーカーなど日本の製造業にとって、学ぶべきものが多いはずである。
(2013年03月29日「基礎研レポート」)
社会研究部 上席研究員
百嶋 徹 (ひゃくしま とおる)
研究・専門分野
企業経営、産業競争力、産業政策、イノベーション、企業不動産(CRE)、オフィス戦略、AI・IOT・自動運転、スマートシティ、CSR・ESG経営
03-3512-1797
- 【職歴】
1985年 株式会社野村総合研究所入社
1995年 野村アセットマネジメント株式会社出向
1998年 ニッセイ基礎研究所入社 産業調査部
2001年 社会研究部門
2013年7月より現職
・明治大学経営学部 特別招聘教授(2014年度~2016年度)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
・(財)産業研究所・企業経営研究会委員(2007年)
・麗澤大学企業倫理研究センター・企業不動産研究会委員(2007年)
・国土交通省・合理的なCRE戦略の推進に関する研究会(CRE研究会) ワーキンググループ委員(2007年)
・公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会CREマネジメント研究部会委員(2013年~)
【受賞】
・日経金融新聞(現・日経ヴェリタス)及びInstitutional Investor誌 アナリストランキング 素材産業部門 第1位
(1994年発表)
・第1回 日本ファシリティマネジメント大賞 奨励賞受賞(単行本『CRE(企業不動産)戦略と企業経営』)
百嶋 徹のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/22 | 社会的インパクトをもたらすスマートシティ-CRE(企業不動産)を有効活用したグリーンフィールド型開発に期待 | 百嶋 徹 | 基礎研レポート |
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2024/09/26 | EVと再エネの失速から学ぶべきこと-脱炭素へのトランジション(移行)と多様な選択肢の重要性 | 百嶋 徹 | 研究員の眼 |
2024/07/09 | 人的資本経営の実践に資するオフィス戦略の在り方-メインオフィスは人的資本経営実践のためのプラットフォームに | 百嶋 徹 | ニッセイ基礎研所報 |
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