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- 生涯現役促進地域連携事業の本来の意味
当事業が創設された背景については、改めて申し上げるまでもないと思われるが、「高齢者の雇用促進」は安倍政権が目指す「一億総活躍社会の実現」に向けた重要な政策課題の一つである。個人にとっても、リタイアした後の活躍の場が拡がるかどうかについては、セカンドライフの設計に大きな影響を及ぼすことである。しかしながら、65歳以上の高齢者が働ける場(仕事)は決して多くはない。リタイアした後、新たな仕事を見つけようとハローワークやシルバー人材センター(会員になる必要がある)に行っても、選択肢が限られるなかで自分が望む仕事を見つけられず、働くことを諦めてしまっている人が少なくないと想像する。こうしたなかで、高齢者の就労希望ニーズに応えつつ、その高齢者の力をそれぞれの地域が有する課題の解決に活かすことを企図して創設されたのが今回の生涯現役促進地域連携事業である。
当事業は、地方自治体(都道府県/市区町村)が中心となって、まず所定の「地域高年齢者就業機会確保計画」を策定し、地域の関係機関(労使関係者や金融機関等)が連携する「協議会」2がその計画を遂行する。協議会の中には事業統括員、事業推進者、支援員からなる事務局が置かれ、協議会メンバーである関係機関と連携しながら、地域内での高齢者の多様な活躍場所の開拓とマッチングを行っていくことが想定されている。
冒頭に少し述べたが、当事業はいきなり全国展開されるわけではなく、今年度は厚生労働省の公募に手を挙げた地方自治体の中から採択された地域のみが実施されることになっている。2回(1次・2次)の公募を経て、最終的には以下の15地域が採択され、今年度から生涯現役促進地域連携事業が進められることになっている。
1 前田展弘「高齢者雇用政策の新たな展開~地域における高齢者の多様な就業機会の確保・拡充に向けて」(ニッセイ基礎研Report,2016.6.20) http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=53151?site=nli
2 筆者もメンバーである千葉県柏市の協議会は、柏市(保健福祉部、経済産業部)、柏商工会議所、柏市沼南商工会、柏市社会福祉協議会、柏市シルバー人材センター、日本政策金融金庫(松戸支店)、東京大学高齢社会総合研究機構、一般社団法人セカンドライフファクトリーから構成される。
(2016年11月17日「研究員の眼」)
生活研究部 上席研究員・ジェロントロジー推進室兼任
前田 展弘 (まえだ のぶひろ)
研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究学)、超高齢社会・市場、高齢者就労問題、ライフデザイン、高齢者のQOL/well-being
03-3512-1878
- 2004年 :ニッセイ基礎研究所入社
2009年度~ :東京大学高齢社会総合研究機構 客員研究員
2022年度~ :東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員
2021年度~ :慶応義塾大学ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター 訪問研究員
2023年度 :早稲田大学Life Redesign College(人生100年時代の大学)講師
内閣官房「一億総活躍社会(意見交換会)」招聘(2015年度)
厚生労働省「生涯現役地域づくり普及促進事業有識者委員会」委員長(2024年度)
財務省財務総合政策研究所「高齢社会における選択と集中に関する研究会」委員(2013年度)、「企業の投資戦略に関する研究会」招聘(2016年度)
東京都「東京のグランドデザイン検討委員会」招聘(2015年度)
神奈川県「かながわ人生100歳時代ネットワーク/生涯現役マルチライフ推進プロジェクト」代表(2017-19年度)
生協総研「2050研究会(2050年未来社会構想)」委員(2013-14、16-18年度)
全労済協会「2025年の生活保障と日本社会の構想研究会」委員(2014-15年度)
一般社団法人未来社会共創センター 理事(全体事業統括担当、2020年度~)
一般社団法人定年後研究所 理事(2018-19年度)
【資格】 高齢社会エキスパート(総合)※特別認定者、MBA 他
前田 展弘のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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2023/07/19 | 官民協働による高齢化課題解決の取組視点~85歳以上1000万人時代をどう支えるか | 前田 展弘 | 研究員の眼 |
2023/04/10 | 生涯“貢献”社会の創造を~新たな長寿価値「貢献寿命」の提案 | 前田 展弘 | 研究員の眼 |
2022/11/08 | 定年と生き方モデルの考察-筆者連載「セカンドライフの空洞化問題(1~5)」の(3)より | 前田 展弘 | 基礎研マンスリー |
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