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- 不確実性増す2017年の欧州-ECBの政策も弾力性が必要に
2016年10月21日
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■要旨
- 欧州中央銀行(ECB)は10月20日政策理事会で現状維持を決めたが、次回12月8日の会合では、資産買入れプログラム(APP)についての関連委員会の検討結果を踏まえて、期限延長を決める可能性が濃厚だ。
- ECBは、資産買入れプログラムでは、国債等が残高の8割強と圧倒的比重を占めるが、(1)ECBへの出資比率(Capital key)に応じた買入れ、(2)1銘柄・発行体あたりの買入れ上限、(3)残存期間の制限(2~30年)、(4)買い入れ対象債券の利回り制限(中銀預金金利のマイナス0.4%を適用)があり、買入れ対象債券の枯渇が心配されている。
- 買入れ対象債券を拡大する効果が最も高い選択肢は(1)の見直しだ。圏内格差解消の観点で望ましい面もある。しかし、ECBによる高債務国支援の様相が強まるため、最もハードルが高い。(2)、(4)の見直しは、効果に限りがあるが、有力な選択肢だ。(4)を維持したマイナス金利の深堀りは、銀行収益への影響を配慮し見送るだろう。
- 17年は英国とEUの離脱交渉が本格的に始まると同時に、オランダ、フランス、ドイツとユーロ圏のコア国で選挙が相次ぎ、一段と不確実性が増す。ECBが金融政策で機動的に対応する余地を確保するために、買入れ額を従来よりも弾力化する方向に見直す可能性もあるのではないか。
(2016年10月21日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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