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- 欧州経済見通し~英国のEU離脱選択の影響は中期にわたる~
2016年09月09日
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■要旨
- ポンド安の恩恵もあり英国の国民のEUからの離脱の選択で英国経済が急激な景気後退に陥る事態はとりあえず回避された。しかし、ポンド安は輸入依存度の高い英国経済にとって諸刃の剣だ。CPIは17年前半には目標の2%に届きそうだ。個人消費を支えた実質賃金の押し上げ効果は17年前半にかけて剥落、雇用・所得両面からの環境悪化で個人消費の伸びは鈍る。先行きの不確実性が高さから民間投資も当面は低調に推移しよう。17年の実質GDPは1.2%近辺まで減速しそうだ。
- ユーロ圏では緩やかな景気拡大が続いており、これまでのところ、英国がEU離脱を選択した影響は軽微に留まっている。圏内での格差の解消は進んでいない。
- ECBの金融緩和策とやや拡張的な財政政策の下支えもあり、内需主導の緩やかな拡大基調が続く見通しだ。実質GDPは16年前年比1.6%、17年も1.4%と予想する。
- ECBは9月理事会での追加緩和を見送った。資産買入れプログラムの円滑な実施に関する委員会の評価結果を受けて、12月には期限延長を決めるだろう。
- 今回の見通し対象期間はEUの創設メンバーの国々で民意を問う機会が続く。主流派への支持低下は続きそうだが、英国以外の国が離脱へと一気に突き進むことは考え難い。
(2016年09月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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