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- 欧州経済見通し~緩やかな景気拡大、低インフレ、そして政治的な緊張も続く~
2016年06月09日
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■要旨
- ユーロ圏では、内需主導の緩やかな拡大が続いているが、国ごとの方向や水準、ピッチのばらつきも目立つ。
- 16年の実質GDPは1.6%と予測する。個人消費は、低インフレによる実質所得押し上げ効果は徐々に剥落するが、雇用所得環境の改善が続き、緩やかに拡大しよう。著しく緩和的な金融環境は設備投資の追い風となろう。
- ECBの追加緩和の余地は、すでに踏み込んだ緩和を実施している上に副作用の懸念もあり、狭まっている。16年の財政政策は全体ではやや拡張的だが、南欧、フランスなど経済や雇用情勢が厳しい国ほど財政政策の制約が強い。ユーロ圏は構造的に金融政策に負荷がかかりやすい。
- 国毎に景気の位相は様々だが、国民の既存の政治に対する不満の高まりは広く共通する傾向だ。各国の選挙では、主流派政党の支持が低下、反緊縮や反EU・反移民など従来の政策路線を否定する政治勢力に支持が広がる傾向が鮮明になっている。ギリシャを除き、政局の変化が経済活動に大きな影響を及ぼしたケースはないが、今後、6月23日の英国の国民投票など大国で重要な政治イベントが相次ぎ、その結果の重みは増す。
■目次
1.緩やかな景気拡大、低インフレが続く
・1~3月期のユーロ圏は前期比年率2.2%。緩急の差はあるものの主要国は総じて改善
・4~6月期も緩やかな拡大持続も成長テンポはやや鈍化。イタリアに失速の兆候
・成長のエンジン個人消費を支える雇用所得環境は国ごとのばらつきが大
・2016年の実質GDPは1.6%、内需主導の緩やかな拡大続く
・ECBは、著しく緩和的な金融環境を維持し、回復をサポート
・財政政策は全体ではやや拡張的に
・財政赤字削減を求められているポルトガル、スペイン、ギリシャ、フランス
2.そして政治的な緊張も続く
・景気の位相は様々でも、既存の政治に対する不満の高まりは広く共通する傾向
・これまでのところ、ギリシャを除き政局の変化が経済活動に大きな影響を
及ぼしたケースはない
・英国の国民投票の離脱多数は世界的な金融市場の動揺をもたらすおそれ
・英国の国民投票の3日後にはスペインで再選挙
・今秋のイタリア国民投票は首相辞任に発展する可能性。
17年には蘭、仏、独で国政選挙続く
・ギリシャ危機2016は回避の目処
1.緩やかな景気拡大、低インフレが続く
・1~3月期のユーロ圏は前期比年率2.2%。緩急の差はあるものの主要国は総じて改善
・4~6月期も緩やかな拡大持続も成長テンポはやや鈍化。イタリアに失速の兆候
・成長のエンジン個人消費を支える雇用所得環境は国ごとのばらつきが大
・2016年の実質GDPは1.6%、内需主導の緩やかな拡大続く
・ECBは、著しく緩和的な金融環境を維持し、回復をサポート
・財政政策は全体ではやや拡張的に
・財政赤字削減を求められているポルトガル、スペイン、ギリシャ、フランス
2.そして政治的な緊張も続く
・景気の位相は様々でも、既存の政治に対する不満の高まりは広く共通する傾向
・これまでのところ、ギリシャを除き政局の変化が経済活動に大きな影響を
及ぼしたケースはない
・英国の国民投票の離脱多数は世界的な金融市場の動揺をもたらすおそれ
・英国の国民投票の3日後にはスペインで再選挙
・今秋のイタリア国民投票は首相辞任に発展する可能性。
17年には蘭、仏、独で国政選挙続く
・ギリシャ危機2016は回避の目処
(2016年06月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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